特定保健用食品の新たな審査基準に関する研究

文献情報

文献番号
200501053A
報告書区分
総括
研究課題名
特定保健用食品の新たな審査基準に関する研究
課題番号
H17-食品-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山田 和彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 平三(聖徳大学生活文化学科)
  • 阿部 啓子(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 合田 敏尚(静岡県立大学食品栄養科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
31,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一定の科学的根拠が存在すれば、効果の根拠が確立されていない旨の表示を付けることを条件として、特定保健用食品の枠組みが拡充されてきた。食品の表示許可及び審査のために、このような分野の審査基準に関する検討を目的とした。
研究方法
「健康食品」の現状及び、各分担研究者による分担項目の文献的調査を中心に進め、試験研究も計画に沿って実施し、以下のような初期的成果を得た。
結果と考察
1)調査の結果、気分、眼の健康や視覚機能、その他への効果を評価する上で有用と推定される方法やバイオマーカーが多数あることが判明した。一方、皮膚の表面温度の分布を測定し、食品が抹消循環等に及ぼす効果について生理学的生化学的指標との関連性を得た。2)WHO調査報告による、健康強調表示にとくに規制を設けない国々、疾病への言及を認めない国々、特定商品の健康強調表示を認める特別な枠組みがある日本のような国等の最近の状況を得た。3)オリゴ糖を動物に投与した応答をトランスクリプトミクス(DNA→mRNA)にて計測し、消化管免疫系遺伝子群の発現変動があり、この方法は生体影響判定に有効であることが認められた。4)健康食品素材のうち利用実績があり、ヒトで有効性が示唆されている成分を含む各素材に含まれるフラボノイド類を中心に調査し、生体影響に重要な成分は、素材レベルで特定して規格基準を作成することが、その素材を添加した食品の有効性や安全性を確保する上で重要であると考えられた。5)健康食品として用いられているが、消化管から吸収困難なウコン属植物の成分を、LC−MSによる分析で総体的に把握するとともに種間並びに種内での成分の変異の程度を検討した。6)複数の機能性成分が含まれる食品であっても、バイオマーカーを正しく設定することにより、保健の用途に関する有効性の評価が可能になるという視点が明確にされた。機能性食品成分に対する生体応答には個人差があることの具体例が示された。
結論
審査基準の見直しの際には、有用な基礎資料として活用されると考える。実際に効果があることが科学的に確認される食品について、必ずしもその作用機序が明確化されなくても許可できる審査体制に貢献する。また、審査基準の見直しと同時に、申請者側の負担、既許可品も含めた再評価や市販後調査の必要性等、健康増進へむけた食品制度の安全・信頼性向上にも貢献する。

公開日・更新日

公開日
2010-06-25
更新日
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