担子菌類中の有害物質の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501049A
報告書区分
総括
研究課題名
担子菌類中の有害物質の評価に関する研究
課題番号
H15-食品-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 長岡 恵(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Agaricus属キノコにはagaritineというphenylhydrazine誘導体が含まれており、その毒性について指摘されている。今年度は、アガリクス投与、agaritine標準品投与マウスの代謝について調べるため、血中濃度を経時的に測定した。またこれらの研究から,agaritineを含む一連phenylhydrazine化合物を含むキノコ摂取のリスク評価を行った。さらにアガリクス茸を含むキノコ類中の有害・必須金属の分析及びリスク評価についても行った。
研究方法
平成16年度本研究開発した分析法を用いて、合成agaritine標準品投与マウスを用いて血中への移行を経時的に分析した。本研究の結果とAgaricus属であるマッシュル-ムとそれに含まれるフェニルヒドラジン誘導体の毒性情報から、本研究におけるアガリクス茸含有健康食品中のagaritine摂取に関してのリスク評価を検討した。アガリクス茸含有健康食品および他のキノコ類につき、ICP発光分光法により有害・必須金属濃度を分析した。DMEQ-COCl蛍光ラベルを用いたキノコ中のagaritineとその関連化合物の一斉分析法の確立を検討した。
結果と考察
agaritine 標準品投与マウスではagaritineは投与直後5分ですでに血中に現れ、20分で血中濃度が最大となり、100分までに消失した。尿中agaritineも投与後24時間以内のみに検出され、それ以降は検出されなかった。またagaritineとその関連化合物について、DMEQ-COClを用いた簡便・選択的・高感度一斉分析法を確立した。有害金属の分析の検討では、アガリクス茸について総HgとメチルHg濃度を調べたところ低値であった。アガリクス茸含有健康食品中のCdの存在状態を調べるために、Cd濃度の高い製品につき、HPLC/ICP-MS法を用いて状態分析を行ったところ、Cdが高分子化合物に結合している可能性が示唆された。
結論
agaritineは、投与後20分で最大となりその後急速に消失し、血中への移行と消失は早いと考えられた。agaritine以外に強い生物活性を持つ成分は見つからなかった。アガリクス茸を含むキノコ類につき、ICP発光分光法により有害・必須金属濃度を分析した。アガリクス茸における総Hg、メチルHg濃度は、ともに低い値であった。金属の有効性や毒性は、その化学形や存在状態に依存するため、Cdが高値であった検体につき、各金属の状態分析を行ったところ、Cdは高分子化合物に結合していた。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200501049B
報告書区分
総合
研究課題名
担子菌類中の有害物質の評価に関する研究
課題番号
H15-食品-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 長岡 恵(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アガリクス茸を含むキノコ類中に含まれる有害物質を特定し、それらの分析法の開発を行う。その際、有害物質の標準物質が入手できない場合は、それらの合成を行う。そしてその含有量の実態調査からリスク評価を行う。また開発された分析法を用いて、それら毒性物質の吸収・代謝・分布・排泄等の研究、ならびに毒性評価に係わる関連研究を実施する。
研究方法
キノコ含有食品中のagaritineを含むヒドラジン誘導体の分析法の開発を種々検討した。また確立した分析法を用いてマウスを用いたagaritineの生体内動態研究に応用した。本研究の結果とAgaricus属であるマッシュル-ム及びそれに含まれるフェニルヒドラジン誘導体の毒性情報から、本研究におけるアガリクス茸含有健康食品中のagaritine摂取に関してのリスク評価を検討した。アガリクス茸含有健康食品および他のキノコ類につき、ICP発光分光法、により有害・必須金属濃度を分析した。
結果と考察
担子菌類中の有害成分であるagaritineと、その代謝物を化学合成した。担子菌類であるキノコ類中のagaritineを、LC/MS/MSを用いる高選択的高感度分析法を開発した。この方法を用いてAgaricus属キノコを含む各種キノコを分析した結果、一部のアガリクス茸含有健康食品に初めてagaritineが比較的高い濃度で検出された。キノコ中の有害成分とされるヒドラジン誘導体類について、蛍光ラベル化法による一斉分析法を確立した。agaritine標準品投与マウスではagaritineは投与直後5分ですでに血中に現れ、20分で血中濃度が最大となり、100分までに消失した。アガリクス茸含有健康食品およびアガリクス茸を含めたキノコ類につき、有害・必須金属濃度を分析したところ、一部のアガリクス茸含有健康食品中にCd濃度が高い製品があった。Cdが高値であった検体につき、各金属の状態分析を行ったところ、Cdは高分子化合物に結合していた。
結論
一部のアガリクス茸含有健康食品に初めてagaritineが比較的高い濃度で検出された。agaritineは、投与後20分で最大となりその後急速に消失し、血中への移行と消失は早いと考えられた。本研究における研究成果とマッシュル-ム及びそれに含まれるフェニルヒドラジン誘導体の毒性情報からアガリクス茸を含む健康食品の摂取のリスク評価を検討した。一部のアガリクス茸含有健康食品中にCd濃度が高い製品があったことを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501049C

成果

専門的・学術的観点からの成果
一部のアガリクス含有健康食品中から、有害物質と考えられているアガリチンが初めて比較的高い値で検出した。
臨床的観点からの成果
アガリチンのマウスへの経口投与による体内動態研究で、血中濃度は投与後20分で最大となり、その後急速に消失し、血中への移行と消失は早いことが示唆された。
ガイドライン等の開発
平成18年2月16日内閣府食品安全委員会第131回大会及び平成18年4月19日内閣府食品安全委員会第1回新開発食品専門調査会ワ-キンググル-プにおいてアガリクス(カワリハラタケ)を含む粉末剤型の加工食品に係るリスクプロファイル資料として参考にされた。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省は、特定のアガリクス健康食品につき、内閣府食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼した。その際のリスクプロファイル資料中に本研究成果が使用された。
その他のインパクト
厚生労働省は、特定のアガリクス健康食品につき、内閣府食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼した。その際のリスクプロファイル資料中に本研究成果が使用された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nagaoka MH, Akiyama H, Maitani T.
Binding patterns of vanadium to transferrin in healthy human serum studied with HPLC/high resolution ICP-MS.
The Analyst , 129 , 51-54  (2004)
原著論文2
Kondo K, Watanabe A, Iwanaga Y. et al.
Analysis of agaritine in mushrooms and in agari-tine-administered mice using liquid chromatogra-phy-tandem mass spectrometry
J. Chromatography B , 834 , 55-61  (2006)
原著論文3
Akiyama H, Toida T, Sakai S. et al.
Determination of cyanide and thiocyanate in Sugi-hiratake mushroom using HPLC method with fluoro-metric detection
J. Health Science , 52 , 73-77  (2006)
原著論文4
Kondo K, Watanabe A, Iwanaga Y. et al.
Determination of genotoxic phenylhydrazine agaritine in several mushrooms using liquid chromatogra-phy-electrospray ionization tandem mass spectrometry
Food Additives and Contaminants  (2006)
原著論文5
Nagaoka MH, Nagaoka H, Kondo K. et al.
Measurement of a genotoxic hydrazine, agaritine, and its derivatives by HPLC with fluorescence derivatization in the Agaricus mushroom and its products.
Chemical and Pharmaceutical Bulletin  (2006)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-