文献情報
文献番号
200501040A
報告書区分
総括
研究課題名
天然添加物の発がん性等に関する研究
課題番号
H15-食品-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鰐渕 英機(大阪市立大学大学院医学研究科都市環境病理学)
研究分担者(所属機関)
- 今井田 克己(香川大学医学部腫瘍病理学)
- 中江 大(財団法人佐々木研究所病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
46,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では変異原性が疑陽性以上であり、安全性評価の確立していない天然添加物(既存添加物)であるプロポリス抽出物、キダチアロエ抽出物およびカテキンについて、1年間慢性毒性試験および2年間発がん性試験をラットに施行し、3年間かけてそれらの安全性を評価することとした。本年度は、動物実験を終了し、各被験物質の毒性および発がん性の評価を行う。
研究方法
実験に用いたラットはいずれも雌雄Wistar Hannoverラットである。
プロポリス抽出物の発がん性試験では、雌雄ラットに0、0.5および2.5%の用量で2年間混餌投与した。
キダチアロエ抽出物の慢性毒性試験では、雌雄ラットに0、0.16、0.8および4%の用量で1年間、発がん性試験では0、0.8および4%の用量で2年間混餌投与した。
カテキンの1年間慢性毒性試験および2年間発がん性試験では、雌雄ラットに0、0.02、0.3、1.0および3%用量で混餌投与した。
プロポリス抽出物の発がん性試験では、雌雄ラットに0、0.5および2.5%の用量で2年間混餌投与した。
キダチアロエ抽出物の慢性毒性試験では、雌雄ラットに0、0.16、0.8および4%の用量で1年間、発がん性試験では0、0.8および4%の用量で2年間混餌投与した。
カテキンの1年間慢性毒性試験および2年間発がん性試験では、雌雄ラットに0、0.02、0.3、1.0および3%用量で混餌投与した。
結果と考察
プロポリスの発がん性試験の結果、対照群ラットに比べて、10週から雌雄とも2.5%群で体重増加の抑制が認められたが、生存率はむしろこれらの群で高く、被験物質の高濃度含有する飼料での長期飼育による栄養学的な不足の結果である可能性が考えられ、毒性変化とは判断されなかった。また、プロポリス投与に関連した非腫瘍性および腫瘍性変化の増加は認められなかった。
キダチアロエ抽出物の慢性毒性試験では、回盲部リンパ節において類洞の拡張が雌雄4.0%群に有意に増加した。発がん性試験では、回盲部リンパ節において類洞の拡張が雌雄0.8および4%群で有意に増加していた。腫瘍性病変は慢性毒性および発がん性試験のいずれにおいても対照群と被験物質群との間に有意な差は認められなかった。
カテキンの慢性毒性試験において、3.0%群の雄では、肝相対重量増加と小葉中心性肝細胞肥大および免疫組織化学染色においてCYP3A2の誘導が認められた。発がん性試験群において、3%投与群の雄で慢性毒性試験群と同様な小葉中心性肝細胞肥大の増加が認められたが、肝重量の変動は認められなかった。カテキンの慢性毒性および発がん性試験のいずれにおいても腫瘍の頻度、発生時期および悪性度などに投与の影響は認められなかった。
キダチアロエ抽出物の慢性毒性試験では、回盲部リンパ節において類洞の拡張が雌雄4.0%群に有意に増加した。発がん性試験では、回盲部リンパ節において類洞の拡張が雌雄0.8および4%群で有意に増加していた。腫瘍性病変は慢性毒性および発がん性試験のいずれにおいても対照群と被験物質群との間に有意な差は認められなかった。
カテキンの慢性毒性試験において、3.0%群の雄では、肝相対重量増加と小葉中心性肝細胞肥大および免疫組織化学染色においてCYP3A2の誘導が認められた。発がん性試験群において、3%投与群の雄で慢性毒性試験群と同様な小葉中心性肝細胞肥大の増加が認められたが、肝重量の変動は認められなかった。カテキンの慢性毒性および発がん性試験のいずれにおいても腫瘍の頻度、発生時期および悪性度などに投与の影響は認められなかった。
結論
プロポリス抽出物、キダチアロエ抽出物およびにカテキンに発がん性はないと判断された。
本試験条件下における各既存添加物の無毒性量(NOAEL)は、プロポリス抽出物では雌雄とも2.5%、キダチアロエ抽出物では雌雄とも0.16%、カテキンにおいては雄では1%、雌では3%と結論した。
本試験条件下における各既存添加物の無毒性量(NOAEL)は、プロポリス抽出物では雌雄とも2.5%、キダチアロエ抽出物では雌雄とも0.16%、カテキンにおいては雄では1%、雌では3%と結論した。
公開日・更新日
公開日
2008-04-28
更新日
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