健康保護を目的とした食に関するリスクコミュニケーションのすすめ方に関する研究

文献情報

文献番号
200501037A
報告書区分
総括
研究課題名
健康保護を目的とした食に関するリスクコミュニケーションのすすめ方に関する研究
課題番号
H15-食品-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部)
  • 吉川 肇子(慶応義塾大学商学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マスメディアを中心とした情報伝達のあり方の最終提言を完成させ、地方自治体において実施されるリスクコミュニケーションの教材の開発を目的とする。また海外との比較から日本におけるリスクコミュニケーションの特徴的課題を把握し、その方策を明確にする。
研究方法
一般消費者対象、食品製造販売業者、マスコミ関係者などに対する量的調査を実施する。また必要に応じて質的調査を実施する。食品衛生月間などを利用して地方自治体においてリスクコミュニケーションを実施する。また、海外からリスクコミュニケーションの研究者を招聘し、マスメディア関係者などとシンポジウムを実施する。
結果と考察
2005年に見直された妊婦の魚介類の摂食と水銀に関する注意事項について、新聞各社の報道実態を調査したところ、新聞社によって報道のスタイルが異なることがわかった。このような実態を知ることは、マスメディアにおけるリスク情報の伝達を考える上で重要である。
リスクコミュニケーション研修会を実施した。参加者のリスクコミュニケーション状況や研修会の評価のために質問紙調査を実施したところ、リスクコミュニケーションの重要性は認識できていたが、職場においては理解が進んでおらず共有されていないことがわかった。また資料が不足したために研修会への参加が十分でなかったなどの課題も明らかになった。
結論
チェックリストを作成し各都道府県および保健所設置市、特別区に対して配布した。リスクコミュニケーションの視点からアレルギー表示に関するパンフレット(患者向け)およびハンドブック(事業者向け)作成した。また、妊婦を対象とした魚介類に含まれる水銀の摂食注意に関してパンフレットとポスターを作成した。地域においてリスクコミュニケーションを実施するためのハンドブックを作成し各都道府県および保健所設置市、特別区に対して配布した。
 リスクコミュニケーショントレーニングとして、主として行政職員を対象とした研修を実施した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200501037B
報告書区分
総合
研究課題名
健康保護を目的とした食に関するリスクコミュニケーションのすすめ方に関する研究
課題番号
H15-食品-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
丸井 英二(順天堂大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 知明(東京大学医学部)
  • 堀口 逸子(順天堂大学医学部)
  • 太田 裕見(財団法人食品産業センター)
  • 大日 康史(大阪大学社会経済研究所)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 吉川 肇子(慶応義塾大学商学部)
  • 柄本 三代子(東京国際大学人間社会学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康保護を目的としたリスクコミュニケーションのすすめ方について、現在の社会状況を明らかにし、いくつかの事例としてリスクコミュニケーションを実施し、その方法論を提示することを目的とする。
研究方法
①食品に関する知識、リスク認知、対処行動等の量的・質的調査②アレルギー表示に関するリスクコミュニケーションの実施③アレルゲン検知法の改良④メディア分析
結果と考察
アレルギー表示のリスクコミュニケーションを実施と調査を実施した。リスク認知は自分自身よりも社会に対してより高く認知し、食物アレルギーについては他の食品に関連する項目より低かった。表示はよく利用され食物アレルギー患者では60%を超えていた。食品購入の際に直接的なコミュニケーションをとるものは多くはなかった。事業者はリスクコミュニケーションに対する自信はなく資料等が不備な状況だった。食品衛生監視員は制度運用に対する自信が半数しか見られなかった。また、表示の正確性を検証するための検知法の開発を行った。Webサイトのあり方を検討しチェックリストを作成した。それはBSEと魚介類に含まれる水銀摂取を実践事例とした。水銀摂取では情報提供例を示し、情報伝達後の評価を行った。ニュースを見聞きした人は多くなく、風評被害は防げたが必要な妊婦に情報が伝達されたかどうか不明であった。リスクコミュニケーショントレーニングとして行政職員等を対象とした研修を実施、評価した。今後の研修の必要性、資料不足が明らかとなった。
結論
チェックリストは行政機関からの情報提供時に必要不可欠な項目がチェックでき、社会的混乱回避に役立つので、各都道府県等に配布した。①アレルギー表示に関するパンフレット(患者向け)およびハンドブック(事業者向け)を作成した。妊婦を対象とした魚介類に含まれる水銀の摂食注意の②パンフレットとポスターを作成した。いずれもリスク回避のために情報を必要としている人々へ「わかりやすく」「継続的に」情報が提供されるための媒体であり①②については厚生労働省より発行された。研究総括で地域でのリスクコミュニケーションを実施するためのハンドブックを作成した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501037C

成果

専門的・学術的観点からの成果
3才児健診受診の母親に対して、リスク認知調査を実施し、食物アレルギーの子どもをもつ母親とそうでない母親とのリスク認知の違いについて明らかにした。栄養士を対象とした食のリスク情報に関するフォーカスグループインタビューを実施し、職場による違いを明らかにした。また食をとりまく関係者の現状把握について、食品衛生監視員対象質問紙調査を実施した。また、魚介類に含まれる水銀の新聞報道の状況について分析した。
臨床的観点からの成果
社会学的な研究、公衆衛生学分野の研究に相当するため、臨床的観点からの成果はない。
ガイドライン等の開発
リスクコミュニケーションのチェックリスト、ハンドブックを作成した。またリスクコミュニケーションの観点から、魚介類に含まれる水銀に関するポスター(案)を作成した。食物アレルギー患者向けリーフレット(案)及び事業者向けパンフレット(案)を作成した。
その他行政的観点からの成果
ステークホルダー(事業者、患者、医療者、研究者等)アレルギー表示検討会を運営し、表示のあるべき方向性について合意形成を行った。またメディア研究会をたちあげ、情報提供による誤った認識や社会的混乱を回避するために、情報提供に際してのチェックリストを作成した。またチェックリストに沿って、厚生労働省のQ&Aの作成のサポートを行った。HPについて問題点を明らかにした。
その他のインパクト
リスクコミュニケーションの研修会(トレーニング)を実施した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
野村真利香, 堀口逸子, 丸井英二
一般世帯および食物アレルギー患者世帯における食品表示などの利用状況 妊産婦教室および乳幼児教室の参加者を対象として
厚生の指標 , 53 , 31-36  (2006)
原著論文2
馮巧蓮, 堀口逸子, 丸井英二
乳幼児を持つ母親の食と健康に関するリスク認知 食物アレルギーの視点をあてて
民族衛生 , 77 , 56-62  (2011)

公開日・更新日

公開日
2018-08-03
更新日
-