ダイオキシンの乳幼児への影響その他の汚染実態の解明に関する研究―特に母乳中のダイオキシン類濃度の経年的変化と乳幼児発育発達に及ぼす影響―

文献情報

文献番号
200501035A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシンの乳幼児への影響その他の汚染実態の解明に関する研究―特に母乳中のダイオキシン類濃度の経年的変化と乳幼児発育発達に及ぼす影響―
課題番号
H16-食品-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
多田 裕(東邦大学医学部 新生児学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 好一(自治医科大学公衆衛生学講座)
  • 松浦 信夫(聖徳大学人文学部児童学科)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学研究科小児病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における母乳中のダイオキシン類濃度を一定の場所を定めて測定し汚染状況とその変化を検討すると共に母乳中のダイオキシン類が乳幼児の健康に及ぼす影響を評価する。

研究方法
初産婦から生後30日の母乳約25から50mlの提供を受け、母乳のダイオキシン類濃度を測定した。母乳を採取する定点地域は岩手県、千葉県、新潟県、石川県、大阪府、島根県の6府県とし、これまでの測定値と比較した。母乳測定を行った母親が第2子以降を出産した場合には第2子以降の児が哺乳する母乳中の濃度も測定した。これらの母乳を哺育した児が1歳になった時点で健康診査と採血を行い乳児の健康への影響を評価した。
結果と考察
平成16年度に採取した母乳中のダイオキシン類濃度は16.5pgTEQ/gFatであり各地域とも過去の測定値より漸減傾向が認められた。府県別の測定値の差は小さくなっていた。第1子出産後のダイオキシン類濃度は平均23.37pgTEQ/gFatであったが、第2子では15.88pgTEQ/gFat、第3子では6.80pgTEQ/gFatと低下していた。1歳時の健康に関しては身体発育、甲状腺機能、免疫、アレルギ-に関し検討したがダイオキシンによると考えられる影響は認められなかった。測定が終了した血液を集めて測定した1歳時の血液中のダイオキシン類濃度は4.1から95pgTEQ/gFatであった。以上の結果から近年のダイオキシン汚染対策により母乳中のダイオキシン類は低下しており地域差も小さくなっていることが明らかになった。乳児の健康への影響も認められなかったが母乳を長期に哺乳している児の血中ダイオキシン類濃度は成人に比し高い値を示すことが明らかになった。
結論
母乳中のダイオキシン類濃度には低下傾向が認められ1歳時点の子どもの健康への影響も認められなかった。しかし母乳からのダイオキシン摂取量の多い児の1歳時の血中ダイオキシン濃度は成人の値より高いことから、今後とも母乳中のダイオキシン汚染の推移と健康への影響を検討していくことが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-