食品製造の高度衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501034A
報告書区分
総括
研究課題名
食品製造の高度衛生管理に関する研究
課題番号
H16-食品-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
品川 邦汎(岩手大学 農学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高谷 幸(日本乳業協会)
  • 大場秀夫(日本冷凍食品協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品製造における高度衛生管理手法の確立を目的とし、と畜場での解体処理における微生物危害生物、未殺菌生乳を原料とするナチュラルチーズ製造および冷凍食品製造における微生物汚染と危害防止について、HACCP構築のためのデータベース化を行った。また、これらの食品製造におけるHACCPモデルプランの構築を目的として、各食品でリスクの高い病原細菌の汚染実態調査、並びにその危害の低減について検討した。
研究方法
各食品について、病原微生物の汚染実態および汚染制御等に関する国内外の文献を収集し、HACCP構築に必要な情報を抽出、整理を行った。食肉処理工程における重要管理点を明確化するために、処理工程ごとの危害微生物汚染調査を行った。冷凍食品については、紋甲イカおよびスルメイカのさしみ製造工程における微生物汚染調査を行った。また、未殺菌生乳を原料とするナチュラルチーズの主な製造工程においてリステリア菌のスパイクテストを行い、また、リステリアの汚染生乳から製造したカードとホエー中の本菌の汚染状況を調べた。さらに市販チーズへのスパイクテストを実施した。
結果と考察
各種食品の製造工程における微生物汚染状況の文献を収集し、データ抽出・整理することによりデータベース化を行った。と畜処理工程における作業手順書の見直し、と殺・解体時の残毛調査、牛内臓摘出時における腸切れ等による汚染調査により、重要管理点を明確にし、さらに体表および腸管内容物による二次汚染防止方策を検討した。冷凍食品については、紋甲イカおよびスルメイカのさしみ製造の各工程における生菌数、大腸菌群、E. coli、および腸炎ビブリオの汚染状況調査を行い、国産および輸入イカ自体の汚染は比較的少ないが、内臓処理工程に汚染が高いことが明らかになった。また、未殺菌生乳によるナチュラルチーズ製造工程においてリステリア菌のスパイクテストを実施した結果、中間製品のpH 5.0以下に低下する工程で、生菌数は急激に減少した。さらに、リステリア汚染乳からの製造においては、本菌はカードとホエー両方に汚染することが解った。市販品へのリステリアスパイクテストでは、一定時間保存すると急激な菌数の増加傾向が認められた。
結論
食品製造ならびに衛生行政に携わる人達にとってHACCP構築のためのデータベースは、有用な資料になると考えられる。また、各食品製造工程における食中毒菌などの汚染調査データおよび病原体添加実験のデータは、危害評価を行う上で有用な科学的根拠を与え、さらに食品製造の高度衛生管理を確立する上で極めて有用である。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
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