細菌性食中毒の予防に関する研究

文献情報

文献番号
200501033A
報告書区分
総括
研究課題名
細菌性食中毒の予防に関する研究
課題番号
H16-食品-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高鳥 浩介(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
  • 山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 五十君 靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の食生活は海外とは大きく異なるため、日本独自の微生物学的リスクアセスメントモデルを策定してリスク管理措置を検討し食中毒発生防止を図る必要がある。
研究方法
国内の食中毒発症菌量に関するデータの収集を行った。食肉における腸管出血性大腸菌について優れた検出方法を検討した。サルモネラの輸入魚介類358検体での汚染について明らかにした。環境および魚介類におけるビブリオ・バルニフィカスの定量法の検討を行い汚染率を明らかにした。カンピロバクターの増菌分離培養法、市販鶏肉および鶏の汚染、Coccoid化した菌の生死に関して検討した。菌株の疫学的、細菌学的な解析による強病原性リステリアの特定、魚介類加工品の作業工程に従った実態調査および魚卵製品での菌の挙動解明を行った。
結果と考察
食中毒事例における原因食品中の食中毒菌の菌数が5件から得られた。血清型O157以外の血清型も含めた腸管出血性大腸菌の検出方法を食肉において確立し、感度や迅速性に優れる遺伝子学的手法を組み入れ食肉4件から検出され有効性が認められた。輸入エビ2検体からサルモネラ(血清型Weltevreden)が分離された。ビブリオ・バルニフィカスの魚介類からの検出方法について検討し有用な培養法およびPCR法を見いだした。魚介類加工品の作業工程でのリステリアのバイオフィルム形成による交叉汚染の指摘した。魚卵製品では、調味液のpH、Aw、低温管理による生菌数の低下を示した。カンピロバクターの鶏肉の汚染率は20-40%で低菌数のものが多く、ブロイラー飼育農場での汚染率は2003年度に57.8%、2005年度に20.5%であった。Coccoid化した後の菌も生物反応を有していた。
結論
食中毒事例における原因食品中の食中毒菌の菌数が5件から得られた。血清型O157以外の血清型も含めた腸管出血性大腸菌の検出方法を食肉において確立した。サルモネラは魚介類358検体中2検体から検出された。ビブリオ・バルニフィカスの魚介類からの検出方法について検討し有用な方法を見いだした。臨床的に重要なリステリア菌株の特徴を解明し、この株は環境や食品汚染分離株の一部であることが判った。魚介類加工品のリステリア制御の実例を示した。カンピロバクターの鶏肉の汚染率は20-40%で低菌数のものが多く、ブロイラーの汚染率は20%であった。Coccoid化菌は生きている可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-