貝毒の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200501030A
報告書区分
総括
研究課題名
貝毒の安全性確保に関する研究
課題番号
H16-食品-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
安元 健(財団法人 日本食品分析センター多摩研究所試験研究部分析化学課)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 泰克(東北大学大学院 生命科学研究科分子生命科学専攻活性分子動態研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有毒プランクトンの発生により二枚貝に蓄積される貝毒は、麻痺性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒、アザスピロ酸貝毒に区分される。これらの貝毒から消費者を保護するためにモニタリングが実施され、一定の基準値を超えると出荷が停止される。しかし、この規制は国により異なるため、規制の基準値、毒の測定方法等の世界的な見直しと統一化が望まれている。一方、CODEX等での協議には十分なデータが必要であるが、簡便、高精度、かつバリデートされた方法により得られたデータは豊富にあるとは言えない。そこで本研究では、国内外のデータ等の収集及びマウス法を含めた適正な毒性評価のための分析方法の検討・開発を通じて、我が国の国民の安全を確保するための貝毒の規制方法や基準値の見直し等の施策立案に用いるデータ等を提供し、さらに国際的な規制の統一化に資することを目的とする。
研究方法
分析法の開発等に必要な標準毒の大多数は供給されていないため、国内で入手した毒化二枚貝等から標準毒を自作する。有機溶媒可溶毒群についてはLC/MS法による実用的な一斉分析法の開発を行い、PSPについては蛍光HPLC法の実用検証を行う。また、諸種貝毒の物理化学的性状と毒性、及び諸外国の規制状況に関する資料を蒐集すると共に、毒性学的データの収集を行う。
結果と考察
前年度作成したDSP主要6成分に加えて代表的脂溶性毒8成分の標準毒を作製し、LC/MS法による一斉分析法を確立した。PSPでは前年度のGTX6に加えてGTX5も精製し、定量的NMRによる濃度決定法を開発した。また、蛍光HPLC法によるGTX群とSTX群の迅速一斉分析の条件設定に成功した。GTX6及びGTX5について現在世界標準とされている米国FDAの標準STX(2塩酸塩)との相対的な腹腔内投与毒性を決定した。
結論
2004年9月、FAO、WHO及びIOCの合同会議に加えて2005年はEUの専門家会議に域外専門家として参加し、今後の研究方向設定に必要な情報の提供と収集を行った。脂溶性14成分の調製についてはUJNRで,LC-MSによる一斉分析法についてはPACIFICHEM2005で発表した。PSPについてはGTX6とGTX5を精製し、新しい濃度決定法を開発した。また、蛍光HPLC法による一斉分析法の確立に成功した。GTX5及びGTX6これまで正確な数値の無かったマウス毒性を決定した。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-