食品中のカビ毒の毒性および暴露評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501028A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中のカビ毒の毒性および暴露評価に関する研究
課題番号
H16-食品-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷進(東京大学大学院 獣医公衆衛生学)
  • 広瀬雅雄(国立医薬品食品衛生研究所 センター病理部)
  • 佐藤敏彦(北里大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国のカビ毒の規制への取組みは、現在のところ国際的水準に至っていない。特にトータルアフラトキシン(AFLs:AFB1,B2, G1, G2)、オクラトキシンA(OTA), トータルフモニシン(FBs, FB1, FB2,FB3)は早急に対応を検討すべきカビ毒である。本研究ではこれらのかび毒を対象に基準値設定の根拠となる科学的基礎デ-タ-を得ることを目的とした。
研究方法
1)我が国に流通する食品中のAFLs、OTA、FBsの汚染実態調査、2)国内汚染事例の多いニバレノール(NIV)について最高用量を100ppmとして、25及び6.25ppmの混餌用量で、雌雄のラットを用いた90日間反復投与試験3)確率論的手法による日本人の小麦類からのデオキシニバレノール(DON)曝露評価4)OTAの毒性評価に関する文献調査を行った。
結果と考察
1)前年度同様にピーナッツバターの一部より0.2-0.7 μg/kg、そば粉から0.24 μg/kgのAFB1が検出された。OTAは、レーズン、ワイン、ビール、生コーヒー豆、煤煎コーヒー、そば麺、そば粉、ライ麦、小麦粉、パスタ、オートミールの一部に汚染が認められ、大部分が1μg/kg未満であった。しかし、インスタントコーヒーについては10試料全てに0.12-4.23 μg/kgの汚染が、また、レーズンについても8μg/kgを超える汚染が認められた。FBsは、スイートコーン、ポップコーン、コーングリッツ、大豆、コーンフレークの一部より、数10μg/kg以下のフモニシンFB1が、ポップコーンの一部には100 μg/kgを超える汚染が認められた。2)雌雄で感受性に差異があるものの長期経口投与により,弱い貧血とともに白血球を標的とした毒性が示された。3)小麦食品摂取量および小麦中のDON含有量データより、モンテカルロシュミレーション法を用いて、日本人の年齢階級別DON曝露量を推定した。 95パーセンタイル値では、一日耐容摂取量である1μg/体重1kg/一日を超える値は認められなかったが、99パーセンタイル値においては、乳幼児において現行の基準値の2倍を超える曝露推定値を示した。仮想摂取量分布の不適合の影響による過大評価の可能性があるものの乳幼児に関しては更に検討を行った上で、何らかの特段の措置を実施する必要があるかもしれない。4)OTAの既に報告されている国際的な毒性評価に加え最新の文献調査を行った。

結論
本年度は我が国における主要かび毒の汚染実態および小麦からのDON暴露評価およびNIV毒性試験を行った。これらの科学的基礎データはカビ毒の基準値設定に資する。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-