いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する研究

文献情報

文献番号
200501025A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する研究
課題番号
H16-食品-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 衛郎(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品機能研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 各務 伸一(愛知医科大学医学部)
  • 山田 静雄(静岡県立大学薬学部)
  • 白井 厚治(東邦大学附属佐倉病院)
  • 中村 治雄(財団法人三越厚生事業団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品の健康影響と健康被害に関する検討を目的とした。
研究方法
①いわゆる健康食品による肝障害事例について調査し、原因となった健康食品の頻度、病態、転帰などを検討した。 
②健常成人男性にイチョウ葉抽出液(GBE)を単回経口投与後、トルブタミド(Tolb)とミダゾラム(Mid)を経口投与し、両薬物と代謝物の血漿中濃度を測定。また、ラット膀胱内に酢酸注入後、ノコギリヤシ果実抽出液(SPE)を十二指腸内投与し、排尿パラメータを測定。
③2型糖尿病患者に特定保健用食品ヘルシア緑茶(350ml、カフェイン80mg含有)を一日1回、2ヶ月間飲用してもらい、糖・脂質代謝系の検査を行った。 
④軽度高コレステロール(C)血症19例にジアシルグリセロール+植物ステロール添加油(10g)を3ヶ月、2ヶ月目よりアルギン酸ナトリウム4gを1ヶ月併用し、有用性を検討した。  
⑤通常摂取量から100倍量の明日葉粉末を含む高コレステロール食をラットに4週間投与。   
⑥通常摂取量から100倍量のメリロートを含む高脂肪食を健常またはOLETFラットに12あるいは20週間投与。 
結果と考察
①肝障害事例は79例で、のべ70種類に及ぶ健康食品が原因とされた。ウコンの含まれる食品によるものが22例と最も多かった。種々の食品が肝障害の原因となり、重症化する例もあることの認識が必要である。 
②GBE(120mg)投与前に比べ、血糖降下剤のTolbの消失半減期、最高血漿中濃度、分布容積および平均滞留時間が有意に増加。SPEは前立腺や膀胱の自律神経受容体を結合し排尿障害改善作用を示した。
③体重減少・不変群ながら血糖コントロールの悪化する例が30%に見られ、これはおそらくカフェインによると効果と思われ、注意が必要。  
④総C、LDL-Cは軽度低下、HDL-C、アディポネクチンは上昇した。両食品の併用は有用で、動脈硬化抑制の可能性。 
⑤体重増加量、体脂肪重量、血清・肝臓脂質濃度に有効性を認めず。糞中胆汁酸排泄有意亢進。過剰摂取による健康被害なし。  
⑥健常・OLETFラット共に体重増加量、体脂肪重量、血清・肝臓脂質濃度に顕著な有効性を認めず。OLETFラットでは血糖値・インスリン濃度への影響もなし。これまでの観察で過剰摂取による健康被害なし。 
結論
いわゆる健康食品でも健康被害が発生する場合がある、医薬品との併用には注意が必要である、等の認識が必要。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-