食品中に含まれるアレルギー物質の検査法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200501022A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に含まれるアレルギー物質の検査法開発に関する研究
課題番号
H17-食品-011
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生学分析化学免疫学)
  • 塩見一雄(東京海洋大学水産化学食品衛生学)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生学分析化学免疫学)
  • 田辺創一(広島大学大学院生物圏科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定原材料に準ずる20品目の検査法開発と科学的に妥当でしかも消費者にわかりやすい食品表示に必要なエビデンスを得ること。
研究方法
1,アレルギー物質検査法の開発
(1)エビELISA法、(2)エビPCR法、(3)大豆ELISA法、(4)大豆PCR法、(5)クルミELISA法、
(6)キウイELISA法、(7)キウイPCR法、(8)食肉(鶏肉、豚肉、牛肉)ELISA法、(9)鶏肉、豚肉PCR反応、(10)ゼラチンELISA法、(11)水晶発振子を用いたバイオセンサ-法による食物アレルゲンの簡易測定法の開発。
2,甲殻類アレルゲン解析、3,貝類のアレルゲン解析、4,甲殻類に属する食用生物間の交差抗原性の検討、5,カニ・エビ食品表示のための質問紙調査、6,ピーナッツおよびナッツ類間の交差抗原性、7,魚卵のアレルゲン解析 
結果と考察
1、食品中アレルギー物質検査法の開発
エビELISA法は甲殻類のトロポミオシンに高い反応性と特異性を示す。ELISA法では甲殻類に属する生物の区別ができないが、エビPCR法では甲殻類のエビと他の甲殻類を識別可能であった。バリデーションで満足がいく結果がでれば、実地での活用へ提供できる。
他の検査法も順調に開発が進んだ。しかし、完成までに解決せねばならない点が幾つか指摘された。
水晶発振子を用いたバイオセンサ-法による食物アレルゲンの簡易測定法も有望な方法である。
2、甲殻類アレルゲンの解析
十脚目甲殻類(エビ、カニ、ザリガニ)だけではなく十脚目以外の甲殻類(シャコ、ナンキョクオキアミ、カメノテ、ミネフジツボ)も主要アレルゲンはトロポミオシンであり、それらは、交差抗原性が存在する。エビアレルギー患者は十脚目以外の甲殻類にもアレルギー発症の可能性がある。
3、貝類のアレルゲン
貝類を含めた軟体動物のトロポミオシンのアミノ酸配列はお互いに変異が大きい。
4、ピーナッツおよびナッツ類間の交差抗原性
ナッツ毎に個別に表示することの妥当性が示唆されたが、さらに検討が必要である。
5、魚卵のアレルゲン解析
リポビテリン重鎖部分を対象とした検査系の方が見込みがあると示唆された。
結論
エビ検査法はバリデーションで満足がいく結果がでれば、実地での応用へ提供できるところまできた。他のアレルギー抗原の検査法の開発も順調に進んでいるが、さらに検討が必要である。甲殻類や他のアレルギー物質に関しても食品表示のために有用な情報が得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-