食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究

文献情報

文献番号
200501021A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介するBSEリスクの解明等に関する研究
課題番号
H17-食品-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 潤一郎(独立行政法人医薬基盤研究所生物資源研究部)
  • 金城 政孝(北海道大学電子科学研究所超分子分光分野)
  • 村山 裕一(独立行政法人農業生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センター)
  • 横山 隆(独立行政法独立行政法人農業生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センター)
  • 古岡 秀文(国立大学法人帯広畜産大学動物病理学教室)
  • 扇 勉(北海道立畜産試験場畜産工学部)
  • 山河 芳夫(国立感染症研究所細胞化学部)
  • 大西 和夫(国立感染症研究所免疫部)
  • 金子 清俊(東京医科大学医学部生理学第二講座)
  • 萩原 健一(国立感染症研究所細胞化学部)
  • 岡田 洋之(独立行政法人農業生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所プリオン病研究センター)
  • 石黒 直隆(岐阜大学応用生物科学部獣医学課程食品環境衛生学教室)
  • 寺尾 恵治(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院獣医学研究科プリオン病学教室)
  • 堂浦 克美(東北大学大学院医学系研究科創生応用医学センター)
  • 鈴木 達夫(東京都芝浦食肉衛生検査所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
95,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品を介したBSEの人への健康影響レベルについては不明な点が少なくないので、 異常プリオンタンパク質の高感度検査法を検討し診断技術に役立てるとともに、BSE感染牛由来材料を用いたin vitroおよびin vivoでの感染発症機構を検討し、さらに牛由来の特定部位の除去および廃棄方法等、およびめん羊等へのサーベイランスに関する研究を行うことにより、食品を介するBSEリスクの解明に関する研究を行う。
研究方法
分担研究者の詳細な研究方法は分担研究者の報告書に譲る。
結果と考察
全工程6時間以内で終了する新しい病理・免疫組織化学法を確立し、PETブロット法の改良が進んだ。小型全自動蛍光相関法測定装置でELISAと同等の感度を確認した。PMCA法によってBSEプリオンの増殖が非特異凝集体の形成によって阻害されることが判明した。BSEプリオンのハムスターへの伝達性を規定するアミノ酸配列を明らかにした。わが国で摘発されたBSE例でマウス伝達試験が行えた例は、非定型および若齢型BSE以外では伝達が成功し、研究資源化が進んだ。ウシ由来マクロファージがプリオンを取り込み12日後までに分解することを明らかにした。PrP結合タンパク質を質量分析で同定し細胞内タンパク質が同定できた。発症したウシ型Tgマウスの脾臓由来のB220+/CD21+細胞群にプリオンが陽性となった。ウエスタンブロット法にUnfoldinを使うことでプリオンの検出感度を上昇させることができた。BSEプリオンの脳内接種ウシは12ヶ月でプリオンの沈着を認め、20ヶ月で発症し、臨床症状の確認とともに生前診断法開発を目的とした研究資源化が進んだ。枝肉処理方法や部位による汚染状況を考慮した方法を実施することで、脳脊髄組織汚染を防御できた。代替法として試行したパルス電気による不動化法は導入に問題はないと考えられた。舌扁桃の分布を明らかにし、舌扁桃の除去は粘膜固有層を除去することで可能であることを検証した。
結論
病理免疫組織化学法はマニュアルの整備を行う。ほかの高感度検出系についてはその基礎ができた。わが国のBSE例のプリオンをマウス等に接種した伝達試験結果がほぼ出揃った。継代を重ね研究資源化が可能となった。研究班の共同研究等のルールにもとづいてBSE研究に資することができる。BSEプリオンを脳内接種したウシが発症したことにより、今後経口感染系の実験とともに、生前診断法の開発に役立てられる。と畜場での交差汚染防止対策を立てる上で役立つ情報が得られ、今後はデータにもとづいたと畜解体法および食肉処理法の改善と手順のマニュアル化が進められる。

公開日・更新日

公開日
2007-09-18
更新日
-