破断面から破断荷重を推定するための定量解析システムの開発

文献情報

文献番号
200501019A
報告書区分
総括
研究課題名
破断面から破断荷重を推定するための定量解析システムの開発
課題番号
H17-労働-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山際 謙太(独立行政法人産業安全研究所機械システム安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井信介(東京大学工学部教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,破断面に数値解析手法を導入し,解析初心者でも簡単に,かつ迅速に破断荷重が評価できるデータベースシステムを開発する.これにより,定量的な破断荷重の評価と解析に関する知見の共有が可能になり,正確な事故解析に寄与することが可能となる.
研究方法
本研究は3年計画で独立行政法人産業安全研究所,東京大学工学部で実施する.
 まず産業安全研究所では,弾塑性破壊試験片の破断面に観察されるストレッチゾーンの定量評価に関する手法の検討を行う.ストレッチゾーンの幅は破断時の荷重と関係があることが従来研究でわかっており,本研究では二次元局所Hurst数と呼ばれるパラメータを提案し,弾塑性破壊試験破断面に適用する.これによりストレッチゾーンが観察された破断面に関しては破断荷重の客観的な推定が可能となる.
次に,産安研と東京大学の共同で,破断面データベースの設計と構築を行う.破断面データベースは,破断面の画像を検索する機能や開発された解析手法を適用する機能を導入する.
結果と考察
本研究では二次元局所Hurst数を提案した。破断面異方性フラクタルであることから,Hurst数の適用が有効である.二次元局所Hurst数はこのHurst数の概念を二次元に拡張し,さらに図形内の局所領域におけるフラクタル性(複雑さ)の特性化を可能にする指数である. 二次元局所Hurst数を用いてストレッチゾーンの幅を計測した結果,目視で同定した領域と合致した領域を抽出することができた.
 次に,破断面のデータベースの設計を行った.データベースは「破断面属性テーブル」と「破断面特徴量テーブル」で構成される.属性テーブルには,破断面に関連する情報(タイトル,材料名,破断面生成状況,etc)が格納されている.特徴量テーブルには画像と倍率情報,破断面から抽出された特徴量が保存されている.これらの情報をデータベースに収めることで,熟練観察者の破断面に対する知見を蓄積する.
結論
破断面から荷重を推定する手法として,二次元局所Hurst数を提案し.弾塑性破壊試験破断面のストレッチゾーン領域同定に適用した.その結果,目視とよく対応した領域を同定することが可能であり,本パラメータを用いてストレッチゾーン幅から荷重推定が可能となった.次に,インターネット上で利用できる破断面のデータベースを試作した.本データベースは,表面粗さなどの破断面の特徴量を計算するためのプログラムを搭載し,解析の支援を実現した.

公開日・更新日

公開日
2006-05-12
更新日
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