労働曝露推定モデルの開発と検証

文献情報

文献番号
200501016A
報告書区分
総括
研究課題名
労働曝露推定モデルの開発と検証
課題番号
H17-労働-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 誠一郎(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 芹田富美雄(産業医学総合研究所作業環境計測研究部)
  • 小堀 衛(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)
  • 山室 堅治(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
リスクアセスメントに必要な暴露推定方法について次の検討をする。
1、作業環境測定のデータから、簡便な暴露濃度推定モデルを開発する。
2、作業環境濃度と暴露濃度の関係を明らかにする。
3、有機溶剤の蒸発速度のを測定し、数値計算に必要な蒸発速度の推定法を検討する。
4、EASEモデル、数値計算モデル、流体解析モデルと開発した暴露濃度推定モデルと実測値の相互比較検討を行なう。
研究方法
中央労働災害防止協会の作業環境測定データから測定対象物質の分圧の計算が可能な23348データを本研究での基本のデータベースとした。
作業環境測定と並行して個人暴露濃度の測定を行なった。
このデータベースを用い、
1、EASEモデルと作業環境測定結果との比較 
2、暴露推定モデルの基礎となる作業環境濃度の推定モデルを作成
3、作業環境濃度、B測定値と個人暴露濃度を比較
実験室実験により
4、蒸発速度実験データから、蒸発速度推定式を求めた。
5、実験室内で溶剤を蒸発させ、環境濃度を測定し、数値計算モデルと実測値を比較した。
結果と考察
1、EASEモデルにおけるばく露濃度推定値の範囲は、実測値よりも高いが濃度の制御方法で一致度は異なり、制御方法が隔離では、ほぼ推定値の範囲内であっが、空気中にミストが存在する場合のばく露濃度推定値に入るデータはほとんどなかった。
2、作業環境管理、物質の揮発性、作業内容から作業環境濃度を推定するモデルを試作した。蒸気圧と作業内容及び管理方法が分かれば推定値が求められる。
3、ばく露濃度の90%がA測定の幾何平均値の4.8倍以内にあったが、相関は、作業区分、A測定の幾何平均値の範囲又は有害物質の制御方法の有効性によって異なる。
4、有機溶剤の蒸発速度は、液面の深さが浅い場合は
蒸発速度(mol/m2/min)=0.002*蒸気圧(mmHg)+0.039
液面の深さが深い場合は、
蒸発速度=拡散係数*表面積*蒸気圧/液面の深さ
で推定できる。
5、モデル実験では、トルエン濃度実測値の変動係数は22~156%と大きなばらつきを持っている。一方、数値計算ソフトでは、各測定点のトルエンの濃度は一定の濃度に収束している。定常状態では、数値解析ソフトによる計算によってその作業場の気中濃度の推定が可能であると考えられる。
結論
作業環境測定データの解析から、作業環境濃度を推定するモデルを作成した。また、実測により暴露濃度とA測定及びB測定濃度の比較を行った。 数値計算モデルに必要な、蒸発速度の推定式を実測から求めた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-22
更新日
-