文献情報
文献番号
200501009A
報告書区分
総括
研究課題名
職場における心臓突然死や事故発生に及ぼす失神・睡眠障害等の潜在危険因子の早期発見とその対策に関する総合的研究
課題番号
H16-労働-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
安部 治彦(産業医科大学 医学部第二内科学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
就労者における突然死(自殺も含む)や事故発生予防には、就労に伴う精神的・肉体的ストレスに加えて、就労者自身が持つ潜在的危険因子の早期発見と対策が必要である。また、生体内植込みデバイス患者の就労における職場環境改善も重要な課題である。これらの課題における国内の現状と対策について調査・研究を行なうことが目的である。
研究方法
1)就労者の心臓突然死発生、特にBrugada症候群の早期発見と対策、2)就労ストレスと失神発作、3)生体内デバイス患者に影響を及ぼす職場環境と電磁障害、ならびにICD患者の国内における就労状況の実態調査、4)就労者の自殺と鬱の発生における産業医の意識調査、5)就労者の睡眠障害を検出するための精度の高い有用なスクリーニング方法の確立。
結果と考察
1) 某鉄道企業検診心電図からBrugada型心電図の発生率を検出し、5年間の追跡調査ならびに心電図変化について調査した。調査対象 24129人中、Brugada型心電図有所見者は258人であった。5年間の追跡調査でBrugada症候群は6名であった。また、Brugada型心電図を呈し、糖負荷で心電図が典型的となった群は予後不良であり、ICD治療の基準となることが明らかとなった。2)反射性失神の発生状況や性差について検討した。3)ICD患者の就労状況調査では、ICD治療後に辞職となる患者が40%で、配置換えとうになった就労者が20%も存在した。また、職場環境として、電磁障害を来しうる職場の存在を明確にした。4)多くの精神科医や産業医が就労者の自殺予防に取り組んでいるが、自殺者の多くが事前にメンタルヘルスに相談にきており、その多くが鬱と診断されていたものの、自殺予防までにはいたっていないことが明らかとなった。5)睡眠障害によりCPAP治療をなされている患者では、CPAP治療により交感神経活性の減弱効果も認められ、CPAP治療は睡眠障害のみならず心臓自律神経の面からも良い治療法である。また、睡眠障害のスクリーニングには、セファロメとリーと咽頭視診を併用することによって、陽性率が高まることが明らかになった。
結論
就労者の突然死予防には、検診心電図やメンタルヘルスにおいて早期発見が可能である。生体内植込みデバイス患者の就労状況は、国内においては極めて劣悪で、多くの辞職者がいる現状を認識すべきである。またこれらの就労者には職場環境、特に電磁干渉に対する配慮が必要である。
公開日・更新日
公開日
2007-06-22
更新日
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