職業性呼吸器疾患の予防及び健康管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501008A
報告書区分
総括
研究課題名
職業性呼吸器疾患の予防及び健康管理に関する研究
課題番号
H17-労働-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 森永 謙二(産業医学総合研究所 作業環境計測研究部)
  • 中館 俊夫(昭和大学 医学部)
  • 村田 喜代史(滋賀医大 放射線医学)
  • 阿部 直(北里大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
職場環境で労働者が曝露する新規物質は多岐にわたり、それらの安全性評価が急務となっている。吸入物質は、じん肺をはじめ種々の呼吸器疾患を発生する恐れがあり、有効な安全性評価法の開発が望まれている。本研究は細胞、動物、ヒトの各レベルで吸入性物質の安全性評価法を開発することを一つの目的とし、新たな画像診断機器、肺機能評価基準値を用いてじん肺健康診断手法を適切に実行・評価する手法を検討することをもう一つの目的とした。
研究方法
細胞骨格機能を指標として物質の細胞有害性評価の検討を細胞磁界測定で行い、動物を用い石綿代替品を吸入曝露後、肺磁界測定にて異物排出機能の影響を観察した。また、粉じん労働者で肺内滞留粉じん量推定のため肺磁界測定を行い有効性を検証した。じん肺健康診断にデジタル・ラジオグラフィー(DR)を導入する妥当性の検討を行った。石綿曝露による種々な胸膜病変の教育材料の検討、肺機能検査の適切な評価法の検討を行った。
結果と考察
動物へ鼻部吸入曝露実験を行った結果、肺内繊維の肺内滞留期間が短いものは有害性が低い可能性が示唆された。胸部間接撮影フィルムで読影トライアルを実施した結果、ほぼ全員が胸膜プラーク有所見とした写真は横隔膜上の石灰化プラークか両側肺野のプラークであり、側胸部の胸膜肥厚像については読影結果にバラツキが見られた。溶接作業者に肺磁界測定を行った結果、健康リスク評価に有用であることが分かった。じん肺健康診断時のエックス線写真条件でDRとアナログフィルムを比較した結果、合意判定では76%、個別判定では74%の一致率であった。じん肺による著しい肺機能障害の診査基準にBaldwinから日本呼吸器学会の予測式へ変更可能か検討した結果、%VC(60%未満)は男女ともに低身長者には基準が厳しくなる傾向、1秒率は予測値の基準値の条件により、従来の基準と判定基準が異なることが示唆された。
結論
細胞、動物、ヒトを対象とするアスベスト代替品の安全性評価システムのモデルを構築した。滞磁性粉じんの場合、肺磁界測定により肺内滞留粉じん量の推定が可能である。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真について、DRはじん肺健康診断に利用できる可能性が示唆された。じん肺有所見者に対する肺機能評価については、著しい肺機能障害に関する暫定基準値によるシミュレーションやパルスオキシメータなどによる評価の可否の検討を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-06-22
更新日
-