文献情報
文献番号
200501006A
報告書区分
総括
研究課題名
過重労働等による労働者のストレス負荷の評価に関する研究
課題番号
H17-労働-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 堤 明純(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
- 尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 福土 審(東北大学大学院医学研究科)
- 大平英樹(名古屋大学大学院環境学研究科)
- 岩田 昇(広島国際大学人間環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、大規模なコホート研究のデータに基づく疫学研究およびニューロイメージング技術を応用した脳科学研究を実施し、過重労働等による労働者のストレス負荷のメカニズムを解明するとともに、過重労働等による労働者のストレス負荷の総合的な評価法を開発することを目的とする。
研究方法
1.過重労働等による健康障害のリスクを定量的に評価するために、2つの大規模コホート研究および1つの症例・対照研究を実施した。2.過敏性腸症候群の患者を対象として、職業性ストレスが内臓刺激に対する大脳中枢の反応に与える影響を同定するための実験を行った。また、労働者のストレス負荷をニューロイメージングを用いて客観的に評価するためのストレス負荷試験の課題開発と予備実験を実施した。3.過重労働等によるストレス負荷評価のための「適応型テスト」システムを試作し、1事業所で試行した。
結果と考察
1.虚血性心疾患は、仕事の要求度が高い場合に危険度が高かった。有意ではないが長時間労働、短い睡眠時間も危険度に影響していた。脳血管疾患は、仕事の不安定さが高い場合、仕事のコントロールが低い場合に危険度が高かった。精神障害による疾病休業は役割曖昧さ・役割葛藤が高く、仕事のコントロールが低い場合に危険度が高かった。また仕事のコントロールが低い場合に自殺の危険度が高い傾向が観察された。労働時間と各疾患との間には有意な関連性は認められなかった。しかし月残業時間が80時間以上で、抑うつがある場合には危険度が高い傾向があった。2.過敏性腸症候群患者を対象とした研究では、職業性ストレスが高い群では、内臓知覚の処理過程において前帯状回の活性化と海馬傍回活動の抑制が示された。ストレス負荷試験の暗算課題では、コントロール不能条件では急性ストレス反応が抑制される傾向があり、眼窩野と内側前頭前野に顕著な賦活がみられた。3.CATの利点および改善すべき課題が明らかとなった。
結論
過重労働による健康障害のリスク評価に職業性ストレス要因を考慮に入れる必要のあること、特に長時間労働で抑うつの見られる場合に危険度が高くなることが示された。職業性ストレスは前帯状回および海馬の情報処理に影響を及ぼしていると推測された。眼窩野--内側前頭前野ネットワークがストレスに対する生理反応をトップ・ダウン的に制御している可能性が示された。3.CATは有望なストレス評価法であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2007-06-22
更新日
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