文献情報
文献番号
200501003A
報告書区分
総括
研究課題名
長時間労働及び睡眠等の関連要因と発生疾患との総合調査による効果的な過重労働対策の確立に関する研究
課題番号
H17-労働-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学研究室)
研究分担者(所属機関)
- 寶珠山 務(産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学研究室)
- 筒井 隆夫(産業医科大学産業生態科学研究所産業保健管理学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
長時間労働や過重労働による健康障害に関係する科学的知見や管理技術を整理及び開発すること、それらを使用者・労働者・産業医等の産業保健専門職が職場で利用できる電子データベースとして公表すること、得られた知見を基に国や企業のための政策的な提言をまとめることを目的とした。
研究方法
脳血管疾患・虚血性心疾患・不整脈・自殺に対して長時間労働が与える影響に関する近年の研究論文を収集して和訳した。アメリカ合衆国の国立産業安全衛生研究所(NIOSH)が作成した長時間労働と健康に関するレビューを全訳した。精神的ストレスに関する問診票とその関連文献を収集し、過重労働者の健康障害防止対策への応用方法を検討した。長時間労働の健康影響に関する民事損害賠償裁判例を検索し、そのうち健康情報の取扱いや産業医が関与した判例を収集した。過重労働者対策の普及状況について大分県において小規模事業場を含めて調査した。生活習慣病予防のための労働者個人の健康情報の取扱いについて、日本産業衛生学会指導医・専門医全員を対象に調査した。本研究で得られた知見を提供するホームページとして「過重労働対策ナビ」(http://www.oshdb.jp)を開発して無料公開し、その利用状況を調査した。
結果と考察
長時間労働者への医師の面接指導に関する法、省令、行政通達を解釈し、産業現場の条件に合わせた面接指導のフロー図と過重労働者対策のアクションチェックリストを開発した。文献調査では、多くの日本の研究が欧米で記された総説で引用されており、主要国において長時間労働や過重労働による健康影響への関心が高まっていると推察された。判例調査では、循環器疾患の裁判では、労災不認定処分の取消請求が損害賠償請求の事例よりも多かったが、自殺の裁判では逆の傾向を認めた。また、自殺事例では医師が関与していない事例が多かった。VE(Vital Exhaustion)に関する質問票の日本語版を職場で使用するための研究を企画した。「過重労働対策ナビ」へのアクセスが増加する傾向を認めた。
結論
過重労働対策及び睡眠確保対策のために開発したアクションチェックリスト並びにVEの質問票については対照群を設定して有用性を研究する必要がある。主要各国における長時間労働や過重労働に対する社会制度について調査し比較する必要がある。「過重労働対策ナビ」を改訂する必要がある。面接指導における個人情報の取扱いについては、職場では多くの課題があり、ガイドラインやQ&Aを作成する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2007-06-22
更新日
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