看護基礎教育における看護技術教育の充実に関する研究

文献情報

文献番号
200501387A
報告書区分
総括
研究課題名
看護基礎教育における看護技術教育の充実に関する研究
課題番号
H17-医療-037
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小山 眞理子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 及川 郁子(聖路加看護大学 看護学部)
  • 手島 恵(千葉大学 看護学部)
  • 鶴田 惠子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 高田 早苗(神戸市立看護大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
看護技術教育の卒業時の到達目標についてはコンセンサスが得られていない現状である。本研究の目的は、看護基礎教育卒業時にすべての学生が習得すべき看護技術の種類と到達目標について教育と臨床の合意を得る。
研究方法
1. 専門家によるデルファイ調査:教育の専門家91名と臨床の専門家98名を対象に3回の調査を行った。
2.卒業直前の学生調査:3年課程看護専門学校および短期大学、大学、計69校に3498通の調査紙を郵送し、学習経験と技術習得度の認識を調査した。
3.臨地実習で学生が体験可能かの病院調査:398病院の実習を受け入れている病棟に、86の看護技術項目について学生が実施可能性の程度を質問紙調査した。
4.看護教育と看護実践の有識者による会議で1-3の調査結果を総合的に検討した。
結果と考察
 142の技術が明らかにされ、各々の技術の到達目標は、1.単独で実施できる、2.看護師・教員の指導のもとで実施できる、3.学内演習で実施できる、4.知識がある、の4レベルで示した。卒業時に単独で実施できる技術には、複雑な症状をもたない患者の食事の援助技術、排泄援助技術、活動・休息援助技術、清潔・衣生活援助技術、呼吸・循環を整える技術等の他に、体温調節援助技術、アセスメント技術、感染予防技術、患者を誤認しないための防止策の実施など基本的な安全管理技術など計34の技術が含まれた。到達度2は、臥床患者の日常生活行動援助技術や患者の安全性に関連のある検査介助技術、感染予防技術、患者の状態に合わせて行うケア等54の技術であった。経鼻胃チューブの挿入、導尿、浣腸、吸引、輸液管理、静脈内注射、静脈血採血等、臨床では頻回に実施されているが学生が実習で体験しにくい技術は、到達度3として学内演習で修得すべき21技術とされた。針刺し事故後の感染防止の方法、人体へのリスクの大きい薬剤の暴露の危険性および予防策、意識レベルの把握方法、止血法の原理など、実習の場でも学内演習でも体験しにくいが看護師にとって重要な技術は到達度4として33項目が合意された。
結論
本研究の成果である卒業時の到達目標を教育や実践の場で活用することにより、教育と臨床のコンセンサスが得られることになり、今までのような教育と臨床の技術能力へのギャップが少なくなり、新人看護師のストレスを減少させることに貢献し、新人看護師が教育から実践の場への移行することに貢献する。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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