医療機関における安全管理システム開発の有用性に関する研究

文献情報

文献番号
200501358A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における安全管理システム開発の有用性に関する研究
課題番号
H17-医療-048
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 すが(NTT東日本関東病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安全管理体制の整備には、危険領域を特定し、実施者自身の認知や解釈、行動の視点から環境条件や対象者の特性に応じた実効的な対策構築が必要である。この研究は、安全対策の「成功事例」の分析を通して、意識や行動変化を促した要因を明らかにすることを目的とした。
研究方法
5施設から収集した医療安全管理対策や業務の標準化事例のうち、汎用性が高く有効と判断された12事例を抽出し、内容分析・経緯から成功要因を「成功の視点」として抽出した。
結果と考察
対策開発にいたる現場の状況には、次の4つのリスク発生要因が挙げられた。
① マニュアル:技術の安全基盤となるが、業務の煩雑化によって確認行為の省略や変更が起
きる。②多重並行的な業務範囲:輻輳、中断・割込が発生し、依存・連携、代行による重複、未実施のミスが起きる。③個人の注意範囲の限界:多種・多様な治療、複雑な業務交差によって確認行為は形骸化し、リスク感性の低下が起きる。④個人の業務遂行能力の限界:新規技術・機器の導入、システム変更により、技術や知識不足が起きる。
成功事例はインシデント発生を契機として開発された具体例である。成功要因(仕組み)には応用可能な基本原理や要素が活用されていたが、抽出された事例の成功の仕組み(要因)は、①カラーリングによる注意喚起、②多重並行的な業務中断への割り込み防止(ネームカード)、③ミスを発生させない器材の構造、④ルール(仕組み)を変える(ゾーニング)、⑤個人の知識・技術教育(対象に必要な項目選択、参加体験学習、教育体制)、⑥体験を補完するマニュアルの整備、⑦広報誌の活用、⑧惰性的な点検作業の見直しの8項目に集約された。
結論
いずれの事例も、混沌とした状況の中で発生するリスクの連鎖をいかに断ち切るか、その方法への模索であり、リスク発生のメカニズムを、実行者の認知・解釈・行動の特性、すなわち、「人」、「モノ」、「ルール」の視点や関係性から捉えなおすことにより、リスク回避の方法開発へと応用可能と思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501358C