かかりつけ歯科医と地域医療支援病院等の連携推進に関する研究  

文献情報

文献番号
199700110A
報告書区分
総括
研究課題名
かかりつけ歯科医と地域医療支援病院等の連携推進に関する研究  
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 剛(愛知県歯科医師会)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内学(名古屋第二赤十字病院)
  • 梅村長生(愛知三の丸病院)
  • 佐野晴男(東京都立荏原病院)
  • 江面晃(日本歯科大学新潟歯学部歯科保存学?)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
二次医療圏における「かかりつけ歯科医」の連携ニーズおよびそれを支援する病院歯科の実態を明らかにしつつ高齢社会において地域歯科医療を総合的に展開するための連携システムの構築と具体策を検討する。
研究方法
1.モデル地域における「かかりつけ歯科医」の連携の実態および機能連携に関する意識を分析し、連携推進に関する課題を明らかにする。
2.病診連携を積極的に推進している地域病院と歯科大学病院の病診連携の実態を調査し、病院とかかりつけ歯科医の機能連携のあり方を検討する。
3.厚生省の行っている患者調査および施設調査を分析し、歯科医療需要と歯科医療提供体制の地域差を明らかにする。
4.全国の病院歯科およびモデル地域の歯科医師会の会員を対象に、病診連携等のあり方に対するアンケート調査を行い、連携システム構築のための施策について検討する。
結果と考察
結果=1.歯科診療所の歯科医師は、機能分担を明確にした上で、病診連携の必要性を認識している。連携を促進する上で最大の課題は歯科の地域医療における基盤整備が不十分なことである。また歯科医師の連携のための意識レベルが様々であるため連携を推進するには、病院をはじめ関連する諸施設の関係者の相互交流による信頼の向上が必要である。
2.病診連携が積極的に推進されている病院歯科は、地域歯科医師会・医師会の協力が得られており、さらに当該病院内の歯科に対する理解が深い実態が明らかになった。病院歯科の機能は紹介患者の外来診療が主体となっており、入院機能を主体とする地域医療支援病院のあり方とは様相を異にすることも明らかになった。
また、歯科における救急医療体制は、医療のあり方と密接に関係しており、医科救急体制の補完的役割を担っている。しかも、その補完的役割を数少ないケースに対処して当直等の対応をとるには、人員要件において不十分であることも明らかになった。
3.歯科大学病院においては、教育機能を主体として歯科医療における高次医療機能とプライマリー機能を併せ備えており、地域歯科医療の分野からは特殊と言える実態があることが明らかになった。しかし、地域歯科医師会との連携により教育、研修機能、高次機能、プライマリー機能の包括的提供施設として有用であることも明確となった。
4.情報連携の上からみると、病院と診療所の連携は、未だ不十分であり、今後のネットワーク化が必要とされる。
とりわけ、開放型病院を目指す歯科大学病院にあっては、情報ネットワークの構築は重要である。
考察=今回のモデル地域、病院での調査実態で明らかになったごとく「かかりつけ歯科医」の機能を支援するための「地域医療支援病院」の整備要件は、地域格差、基盤整備が遅れている現状を考慮して具体化すべきである。それには、全国での二次医療圏における連携の実態、病院歯科機能の現状、地域歯科医師の意識レベル等をアンケート調査により明らかにすることが重要である。その上で、全国64個所の二次医療圏で病院歯科を持たない地域の連携推進をどのように具体的なシステムとして構築するかを示す必要がある。
大学病院にあっては、医科大学と歯科大学ともに教育・研修機能と高次医療機能が主体となるべきであるが、教育・研修機能の充実の上からは、プライマリー機能としての外来診療機能も重要である。これらの機能を総合的に考慮して、地域歯科医療の上で位置づけていくには、地域歯科医師会および大学関係者のニーズ調査が必要となろう。施設間の機能分担による連携促進は、情報公開の流れの中にあって、相互の情報ネットワークの構築が「かかりつけ歯科医」による在宅歯科医療や介護サービスにおける包括性や継続性を支援する上で重要となろう。
これらの課題を検討した上で地域医療確保のための地域医療支援病院等との連携が有効に機能する具体的施策の提示が求められると考える。
結論
以上述べたごとく各分担研究者の研究については、今後の総合的な調査と分析がでないと明確な結論には至らないと考える。
しかし、地域格差は今回の調査報告でも明確になったのでそれらの現状を考慮した分析結果が必要と考えられるので、今後さらに検討を加えることとする。
厚生科学研究費報告書概要版
かかりつけ歯科医と地域医療支援病院等の連携推進に関する研究
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