臨床研修医が初期研修の2年間に修得すべきEBM教育カリキュラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200501349A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研修医が初期研修の2年間に修得すべきEBM教育カリキュラムの開発に関する研究
課題番号
H17-医療-039
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小泉 俊三(佐賀大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 葛西 龍樹(日鋼記念病院北海道家庭医療学センター)
  • 名郷 直樹(地域医療振興会横須賀市立うわまち病院臨床研修センター)
  • 吉村 学(岐阜県揖斐郡地域医療センター)
  • 武藤 正樹(国立長野病院)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部公衆衛生学教室)
  • 武澤 純(名古屋大学大学院医学研究か)
  • 北井 啓勝(埼玉社会保険病院)
  • 多治見 公高(秋田大学医学部附属病院 )
  • 上野 文昭(大船中央病院)
  • 鎌江 伊三夫(神戸大学大学院都市安全医学研究分野)
  • 福岡 敏雄(国立名古屋病院診療部)
  • 山城 清二(富山医科薬科大学附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者の安全をはじめとする医療の質が鋭く問われている今日、医師には、その専門領域を問わず、患者中心の臨床アウトカムを重視するEBM(根拠に基づく医療)を実践することが強く求められている。EBMとは、手に入る最新最良の医学情報を吟味し、患者に特有の臨床状況と患者の価値観に配慮して患者の問題を解決しようとする診療態度を指すが、コミュニケーション能力と共に医療人としての基本的コンピテンシーの一つである。新医師臨床研修制度の中でも、「行動目標‐問題対応能力」の項で言及をされているものの、現実の研修プログラム立案の現場では、EBMの教育方略はなおざりにされている。臨床研修医の多くは日常診療業務に忙殺され、診療態度としてのEBMも身に付けることもなく、研修を終えてしまう懸念がある。本研究では初期研修医が2年間を通じて診療態度としてのEBMを修得するための教育カリキュラム開発を目指した。
研究方法
先行研究では臨床判断上の特性に従って、定型(85%)、複雑(15%)、例外(5%)に患者を類型化し、それぞれの類型に適合したエビデンスの活用を目指して、研修医や指導医を対象としたEBM講習会開催と教材開発を行うとともに、1.早朝(申し送り)カンファレンス、2.症例検討会、3.文献抄読会、4.退院時サマリー記載、5.学会等での症例発表、等を念頭に置いて、教育現場で応用可能なEBM教育手法上の工夫を抽出した。本研究では、多様な学習方略を、どのように2年間の初期研修期間の中に有機的に組み込めば研修医のEBMマインド(診療態度)の育成に役立つかを、ワークショップ(WS)の試行や研修医に対する聞き取り調査等を通じて評価する。
結果と考察
平成17年11月には「臨床研修指導医のためのEBM講習会」を開催し、EBM教育の模範例やWS形式のEBM演習を紹介すると共に、レクチャー用教材の洗練を図った。参加者からは時間の活用法、文献の選び方、研修医との接し方等について示唆に富む工夫が紹介された。また、新医師臨床研修制度にかかる指導ガイドライン作りでは、EBM教育や医療安全教育の項目に関して多くの寄与を行った。
結論
講習会等の開催により、EBMは、学習方略の工夫があれば研修医も受け入れ易いことが検証されたが、平成18年度にはこれらの成果を初期臨床研修2年間のカリキュラムの中に有機的に位置づけ、個々の研修プログラムで応用可能なEBM教育カリキュラム模範例を提示する予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-10-09
更新日
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