患者参加に基づく医療安全・質評価指標の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200501344A
報告書区分
総括
研究課題名
患者参加に基づく医療安全・質評価指標の開発に関する研究
課題番号
H17-医療-033
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座 医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 ちひろ(HCRM研究会)
  • 渡邊 聖(東邦大学医療センター大森病院医療安全管理部)
  • 城川 美佳(東邦大学医学部社会医学講座公衆衛生学分野)
  • 長谷川 幸子(日本医科大学附属病院医療安全管理部)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部病院管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全における患者参加の可能性、想定される役割、促進策を明らかにする。
研究方法
①医療における患者参加についてのレビューを実施した。②医療機関における患者参加促進策の実施状況についてアンケート調査により明らかにした。③入院患者を対象にアンケート調査を実施し、患者が経験する非安全事象と院内レポートシステムの結果の比較検討を実施した。④患者団体にアンケート調査を実施し、疾患による患者の感じる非安全事象の特徴を明らかにした。
結果と考察
①分権レビューを実施し、代表的なモノグラムを訳出して出版した。②約1000病院を対象にしたアンケート調査では、医療安全に関して患者参加を促進するためのなんらかの取組みは55%の病院が実施していた。具体的な内容としては、「氏名を患者に名乗ってもらう」、「治療方針、内容を、生じうる異常・事故を含めて丁寧に説明」、不安・異常の場合に、「すぐに申し出てもらうように説明」、「すぐに申し出てもうらうよう説明書を配布」の順であった。③3病院の入院患者約2000人を対象にしたアンケート調査では、回答者の約10%(調査対象者の約5%)が非安全事象を入院中に経験していた。患者の回答は、「非安全事象」と、安全上は問題ないものの不安・不快などを生じた「不安・不満事象」に分類された。非安全事象のうち1/3しか院内リポート制度では掌握されておらず、医療安全確保の観点からは患者の参加は不可欠である。また約半数しか医療側には伝えられておらず、安全についての医療者・患者間のコミュニケーションの向上は優先度の高い課題であることが伺われた。④3患者団体の約4000人を対象にアンケート調査を実施し、必要とする医療情報の種類、入手経路、治療中に非安全事象を経験したか否か、経験した場合にはその内容について明らかにした。
結論
患者参加を促進するためには、患者に与えられるべき情報が明らかにされるとともに、患者医療者の良好なコミュニケーションが必要である。これまでの知見では疾患により、また医療提供場面により患者の感じる非安全事象は異なり、これらは従来の院内レポート制度では必ずしも医療者に把握されていない。今後は、①医療の場面、疾患特性により生じやすい非安全事象について明らかにするとともに、②医療者の院内レポート制度との突合せにより患者参加が重要な役割を占める非安全事象を明らかにする、③患者の感じる非安全事象に合わせた情報の提供、コミュニケーションの確立が、非安全事象の減少につながることの実証研究を実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
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