抗がん剤の安全管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501343A
報告書区分
総括
研究課題名
抗がん剤の安全管理に関する研究
課題番号
H17-医療-032
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 了介(国立がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 高上 洋一(国立がんセンター中央病院・薬物療法部)
  • 北條 泰輔(国立がんセンター中央病院・薬剤部)
  • 畠 清彦(癌研究会有明病院・化学療法科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
抗がん剤は、その種類、治療方法、適用等が多岐に渡るとともに、日々新たな治療方法が開発されているために、その取り扱いには高度に専門的な知識と技術が要求され、その適正使用を推進することが極めて重要である。安全ながん治療を全国どこでも安心して受けられる医療体制を構築する上で、抗がん剤の安全な取り扱いを担保するシステム構築は最低限必要な条件であり、緊急に対応する必要がある。本研究の目的は、抗がん剤取り扱いに関する医療安全対策について、医療機関及び関係職種に広く周知するための取扱手順書を作成するとともに、その普及啓発のための方策を検討することである。
研究方法
がん専門医療機関を対象とした抗がん剤の取扱、管理体制等の安全対策の状況等に関するアンケート調査を実施し、その結果を踏まえて抗がん剤の安全な使用を推進するために必要な「取扱手順書」を作成する。また、取扱手順書の普及啓発を効果的に行うための手段・方法を検討する。その研究成果は、「研究推進事業」を活用してより多くの医療機関へ普及を図る。
結果と考察
初年度は全国30施設に対して、施設概要、レジメン管理担当、診療部門、薬剤部門ならびに看護部門別にアンケート調査を実施した。つまり、抗がん剤調製の実態、がん専門領域の専門・認定看護師や医療安全管理者の配置状況、注射用抗がん剤を含むレジメンの登録・管理システム、与薬や静脈注射の取り扱い、化学療法に関するチーム医療活動あるいは院内教育などに関する質問事項であり、現在、その結果を回収、解析中である。これと並行して、国立がんセンター中央病院における抗がん剤治療に関する手順を確認、改訂することで、本研究の手順案を作成した。
結論
抗がん剤の安全な取り扱いを担保するシステムを構築することは、国民医療の安全性を高めるために極めて重要である。本研究の目的は、我が国の実情に基づいた抗がん剤取扱手順書を作成するとともに、その普及啓発のための方策を検討することであり、その成果を活用することで国民がより安全な抗がん剤治療を受けることができる体制構築が可能となり、重大な医療事故やインシデント事例が減少することが期待される。また、厚生労働省の構築したがん医療のネットワークと国立がんセンターの機能を有機的に活用する点で独創的な研究と考える。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
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