ヒヤリ・ハットや事故事例の分析による医療安全対策ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200501342A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒヤリ・ハットや事故事例の分析による医療安全対策ガイドライン作成に関する研究
課題番号
H17-医療-031
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
嶋森 好子(京都大学医学部附属病院 看護部)
研究分担者(所属機関)
  • 横井 郁子(首都大学東京健康福祉学部看護学科)
  • 山内 豊明(名古屋大学医学部基礎看護学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療現場の安全性を高めることを目的に、発生頻度が高く重大な結果が生じる恐れのあるヒヤリ・ハット事例に対応した安全対策ガイドラインを作成する。また、医療安全推進のために医療安全管理者の役割の重要性が高くなっているが、その業務及び育成のための教育・研修指針が明確でない。そこで、これを検討するための基礎資料を作成する。
研究方法
平成13年10月から3年半にわたって厚生労働省が行ってきたヒヤリ・ハット事例の収集・分析で明らかになった、発生頻度が高く重大な結果を生じる恐れのある6つの分野について検討班を組織した。これらの分野の安全対策について、日本及び諸外国の文献及び学会等が示したガイドラインを参考に根拠を明確にした安全対策を検討した。組織的な安全管理体制整備に関する課題については別に班を設けて検討した。また、医療安全管理者の業務及び育成のための教育・研修指針作成に向けた基礎資料作成については、豪州シドニー大学が示した、医療者への”患者安全のため教育の枠組”を参考にして、各医療関連団体が実施している医療安全管理者のための教育・研修プログラムや米国のVA及びASHRMが実施している研修プログラムと厚生労働科学研究等で行われた医療安全管理者の業務についての調査結果等の情報を収集して検討した。

結果と考察
医療安全管理上重要な6つの分野(内服・注射薬、チューブ・カテーテル、医療機器、転倒・転落、検査、食事関連)と組織の安全体制整備に共通する課題についての検討結果を盛り込んだ医療安全対策ガイドラインを作成した。いずれの安全対策についても根拠の明確化、それに基づいた適切な業務の設計、これを遵守して実施できる環境の整備が重要である。医療安全管理者の業務指針と育成のための教育・研修指針作成のための基礎資料を整理した。医療安全推進における医療安全管理者の重要性からみて、その業務指針と育成のための教育・研修指針の早急な策定が必要だと考える。

結論
医療現場のリスクの低減化を図るために、重大な結果を生じる恐れがある分野についての安全対策ガイドラインを作成した。引き続き、現場で使い易い教材として整備することによって、医療安全のための教育・研修教材として、また、個々の医療者の学習素材として役立てられる。
医療安全管理者に期待される役割とその能力を身につけるための教育・研修のための継続的・段階的なプログラム案と業務指針の策定が急務である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-