安全な療養環境を構築するための物的対策に関する研究

文献情報

文献番号
200501340A
報告書区分
総括
研究課題名
安全な療養環境を構築するための物的対策に関する研究
課題番号
H17-医療-029
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 上泉和子(青森県立保健大学)
  • 横井郁子(首都大学東京)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性期病院において物的環境に着目することにより,安全な病棟環境を考察することを目的とする。具体的には、1).転倒・転落への物的対策として用いられる諸物品の具体的な評価,2).物的対策を医療現場で導入する手法,3). 物的対策や看護組織の体制づくりの検討に資する看護職の患者把握の内容を検討する.
研究方法
1).全国27の急性期病院を対象とした看護師へのアンケート調査から、転倒・転落への物的対策として用いられる諸物品について、安全性という視点から各物品の性能の評価軸と求められる性能を検討した。
2).2つの医療機関の看護師を対象に物的対策に関する質問紙調査を行った.質問内容は,基礎的項目として,経験年数,外科,内科等の領域別経験等、主題的項目として,転倒・転落予防として環境調整の認識と実践の程度,環境調整に伴う負担の程度,教育の必要性等である.
3).病床規模の異なる3病院6病棟において、看護職を対象にヒアリング調査を行った。調査内容は入院中の患者について、①顔、氏名、疾患名、入院理由を知っているかどうか、②把握内容、③安全管理のために特に把握している内容や対応などである。
結果と考察
1).誤報や誤操作を避けるための機能、安全性への配慮、患者の快適性・利便性への配慮、設置・収納(移動)のしやすさ、メンテナンスへの配慮、故障や破損を防ぐつくりの6点が転倒・転落への物的対策となる諸物品の性能を評価する評価軸として得られ、それぞれについて具体的に求められる性能を検討することができた。
2).9割の看護師が物的対策を患者の状況に合わせ実施していると回答した.患者の認知・理解に関する評価ツール等の知識・実践ともに低い傾向がみられた.導入手法としては対象別,内容別などいくつかのパターンが必要であることが示唆された.
3).看護職の患者把握の内容は、患者の背景・患者の状態・家族情報・医療情報・治療内容・看護情報・管理情報・リスクの8つに分類された。患者の療養環境の安全に寄与する病床規模を検討する上では、管理者の患者把握および病棟管理上必要な職員およびその他の把握の量の限界についての検討が必要であることが示唆された。
結論
上記の結果から、物的環境という視点から病棟における療養環境の安全性が検証でき、より実践的な転倒・転落対策に適用できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-