電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501338A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究
課題番号
H17-医療-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
林 同文(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 良三(東京大学医学部附属病院)
  • 眞鍋 一郎(東京大学大学院医学系研究科)
  • 興梠 貴英(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
  • 橋口 猛志(東京大学大学院医学系研究科・健康医科学創造講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器領域の臨床現場において、日々創出される大量の臨床情報を体系化し、ITによりリアルタイムに蓄積・分析することにより、当該領域における診療の質の向上に必要とされる知見の整備を行う。患者に納得して診療を受けてもらうために必要な臨床課題の明示化並びに具体的な医学的知見の創出、それらの診療現場での活用による質・安全性改善の数値的評価を目的とする。併せて、こうした研究を効率的に推進するための情報基盤の整備を実施する。

研究方法
研究開始時にすでに約3,000例の症例が蓄積され、運用が開始されていた診療ナビゲーションシステムを用いて、循環器領域における臨床的課題の抽出を行う。抽出された課題をさらに精査するために必要な、データの不備の改善策、システム上の運用課題を抽出し、その解決を図る。システムにより抽出された知見のうち、臨床現場へのフィードバックが望ましいと判断されたものについては、当該領域における既存のエビデンスとの関連性等について考察を加えた上で、患者提供用情報として使用し、情報の有用性について基礎的評価を実施する。
結果と考察
まず、臨床課題については、「糖尿病患者について、心筋梗塞を起こした患者が各種イベントを再度起こす割合(1000人/年)」「糖尿病患者を、降圧剤の投与/非投与、血圧の値により群分けし、群毎に各種イベントを再度起こす割合(1000人/年)」等の日々診療で必要となる知見について、計14種類の基礎解析を実施した。併せて、生活習慣病の臨床で重要となる、年齢階層別、男女別等の基礎解析を行った。
解析の過程において、データ運用上の問題点及びマスタの不備が明らかになり、それらについての改善策を実施した。前者については、情報セキュリティ、システム上の負荷の問題を考慮しつつ、可能な範囲で両システムのデータの標準化を実施し、処方データとラボデータの連携・共有化を達成した。後者については、再度解析のニーズを踏まえつつ、再度の薬剤マスタと病名マスタの見直しを行い、臨床的観点からの解析が可能な内容を保有する両マスタを作成した(病名マスタについては、ICD-10との対応可否についても併せて検討した)。
結論
臨床的にニーズの高い基礎解析を実施すると共に、解析の過程で顕在化したデータ管理上の諸問題の解決を図った。来年度以降のIT導入が臨床に与える質、安全両面でのインパクト調査の基盤を構築できた。

公開日・更新日

公開日
2006-10-03
更新日
-