在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究

文献情報

文献番号
200501332A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究
課題番号
H17-医療-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川越 厚(ホームケアクリニック川越)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野 栄二(帝京大学 医学部)
  • 平林 勝政(國學院大學 法科大学院)
  • 岡部  健(岡部医院)
  • 柏木 聖代(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 福井 小紀子(首都大学東京 健康福祉学部看護学科)
  • 阿部 郷子(東京リビングサービス 介護事業改革推進室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、在宅療養者の看取りをより質が高くかつ効率的なものとするため、医師と看護師の連携のあり方、特に医師から看護師に出される指示の形を包括化する、という観点から検討することを目的としている。3年計画の1年目である今年度は、在宅がん末期患者の看取りにおける医師と看護師の連携の実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
1.在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する文献レビューを行った。
2.「末期がんの方の在宅ケアデータベース」に登録されている565の医療機関を対象とした、在宅ケアの提供体制、連携の方法と包括的指示の実施状況などについて、郵送による自記式質問紙調査を行った。
3.社団法人全国訪問看護事業協会の正会員である訪問看護ステーション3,539件のうち、都道府県別に1/2層化無作為抽出した1,781件を対象とした、郵送による自記式質問紙調査を行った。
結果と考察
文献調査の結果、在宅緩和ケアにおける訪問看護師と医師を中心としたチームケアの有効性は示されているが、詳細なガイドラインは未だ存在していないことが明らかになった。医療者の緩和ケア技術の継続的な教育が、わが国の第一課題となることを導いた。
医療機関と訪問看護機関への調査からは、医師主導の指示方法の割合が高く、包括的指示に基づくものの比率は少なかった。しかし包括的指示の是非については基本的には望ましい、あるいは必要であると言う意見がA多く、医師と看護師が協働で在宅ケアを提供していく上での連携のあり方として期待されている一方、訪問看護師の知識・スキルの向上が重要な前提条件として考えられていることが示唆された。がん末期患者の疼痛緩和については、現状では医師による実施・医師主導の指示方法の割合が高かったが、頓服薬の投与や鎮痛剤の投与量増減については包括的指示にしたほうがよい項目としても挙げられ、包括的指示の対象行為として検討していく必要性が示唆された。
結論
今後のわが国の在宅緩和ケアの発展のためにはチームケアのあり方を明示していくことが重要で、在宅医療の進展に大きく貢献するといえる。
現状調査からは、包括的指示については基本的には望ましいとする意見が多く、今後の検討課題であることが示唆された。
今後、どのような行為についてどこまでを包括的指示の対象としていくのかを含め、具体的なガイドラインの作成および法的な整備へ向けた検討を行っていくことは、一定の基準のもとに安全で効率的な在宅ケアを提供する基盤を整えていく上で重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-