歯科医師国家試験における実技試験の客観的評価に向けたシミュレーション・システムの開発

文献情報

文献番号
200501330A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医師国家試験における実技試験の客観的評価に向けたシミュレーション・システムの開発
課題番号
H17-医療-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川添 堯彬(大阪歯科大学(有歯補綴咬合学講座))
研究分担者(所属機関)
  • 宮崎 隆(昭和大学歯学部)
  • 天笠 光雄(東京医科歯科大学大学院)
  • 道脇 幸博(昭和大学歯学部)
  • 槇 宏太郎(昭和大学歯学部)
  • 鶴本 明久(鶴見大学歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科医師国家試験実技試験を導入すべきとの提言がなされてきた。そこで,実現可能な試験方法ならびに評価方法を確立すること,および試験媒体として新たなシミュレーションシステムを開発することの2点が本研究の目的である。

研究方法
1.客観性を担保した実技試験の確立
①9名の評価者におけるアルジネート印象の評価の信頼性について分析した。
②卒前学生に全部鋳造冠の支台歯形成を実施して,作品をCADシステム(CLINSIM,(株)モリタ)にて3次元計測を試み,さらに機械的自動判定を行った。
③既に市場に出ているシステムを含む4システムにおける機械的評価を検討した。
2.試験媒体としてシミュレーション・システムの開発
①保存学の実技教育およびその評価に関する情報を収集する。
②ファントム実習課題と社会保険診療統計から基本的なテクニカルスキルの候補を挙げた。
③患者との近似性,学習効果を,数名の歯科医師および歯学部学生に対し,患者ロボットを試用して検証した。


結果と考察
1.客観性を担保した実技試験の確立
①評価者間のキャリブレーションの必要性が求められた。
②3次元計測して機械的自動判定まで一歯につき約2分で可能であった。
③4システムに共通した評価項目として支台歯(窩洞)形成の評価に関して可能と思われるが,測定精度の違いなども判明した。
2.試験媒体としてシミュレーション・システムの開発
①シミュレーション・システムが卒前基礎実習に十分に応用されていないこと,システムが多様であり評価方法や操作性が統一されていないことなどがわかった。
②基本的なテクニカルスキルとして,歯内療法では,ラバーダム防湿,天蓋開放,抜髄,根管貼薬,根管拡大,根管充填が,保存修復のうち充填処置では,光重合レジンの重要性が高かった。歯周治療では,ルートプレーニングやスケーリングの重要性が高かった。補綴系において,前装鋳造冠,全部鋳造冠,有床義歯では臼歯部分床義歯と全部床義歯の重要性が高かった。外科・放射線系において抜歯の重要性が高く,歯科放射線では単純X線撮影が基本と考えられた。
③すべての実習者から,従来の単純なマネキンを用いた実習と比較して,臨場感に優れ,技能訓練に役立つとの回答を得た。
結論
保存系,補綴系,外科・放射線系で共通に使用できる実技試験用のシミュレーションシステムを確立し,その全国展開,および装置・ソフトの改良などの推進を図る必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
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