重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501322A
報告書区分
総括
研究課題名
重粒子線治療等新技術の医療応用に係る放射線防護のあり方に関する研究
課題番号
H17-医療-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 博彦(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤 真広(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター )
  • 佐藤 幸夫(国立大学法人群馬大学重粒子線医学研究センター)
  • 上蓑 義朋(独立行政法人理化学研究所重イオン加速器科学研究プログラム)
  • 金井 達明(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター 物理工学部)
  • 西澤 かな枝(独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター医療放射線防護研究室 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
粒子線治療をはじめとした新たな放射線利用における放射線防護の考え方を整理し、実際の線量測定に基づいた情報の収集を行うことで、今後の具体的な構造基準や安全管理指針等の策定に必要な知見を集積することを目的とする。現在日本では6施設の重粒子線または陽子線治療施設が稼働している。これらの放射線安全管理は現行法令に基づき行われているが、統一的な防護の考え方が必要である。そこで、日本における粒子線治療施設の放射線防護のあり方について検討するため、今年度は国内外の実状を調査し問題点の整理を行った。
研究方法
国内の各粒子線及び陽子線治療施設の放射線防護担当の代表者、および放射線安全管理と規制に関する専門家にも協力を依頼して、安全管理に関する研究会を組織し、意見交換と問題点の整理を行った。更に、諸外国における同様施設の放射線防護と安全管理に関する実情を把握するため、すでに粒子線または陽子線治療を行っている施設および建設中の先進的な施設に対し分担研究者による訪問調査を行った。また、研究会において問題の一つとして出された治療室内・患者コリメータの放射化について実験的に検討を開始した。
結果と考察
実際上の問題点のいくつかは各施設で同様なものが多く、共通の認識や考え方を整理した。海外の稼働中施設および建設中の施設における訪問調査により、各国の粒子線及び陽子線治療への法規制、考え方、基本としている資料などが明確となった。殆どの場合、場所に関する線量限度や被ばく限度などは基本的にICRP勧告に従っているため日本と同様であるが、アメリカではNCRPを参考としている。しかし、基本的には粒子線及び陽子線治療施設特有の法規制などはほとんど無く、従来の直線加速装置などに対する規制が準用されている。
 患者コリメータなどの放射化に対する予備的実験では、適正な扱いをすれば特別な処置を必要としないと言う感触を得ている。ただし、最終的な結論を得るためには国内全施設の協力を得て、精密な測定を行う必要がある。
結論
各国において、粒子線治療に関して特別な放射線防護対策は基本的にとられておらず、通常の加速器施設と変わりはない。調査した範囲では、日本において新たに規制すべきと思われるような事項は見受けられなかった.

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-