持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究

文献情報

文献番号
200501321A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究
課題番号
H17-医療-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 好一(自治医科大学医学部)
  • 浅井 康文(札幌医科大学高度救命救急センター)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学国際島嶼医療学)
  • 大田 宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉 正大(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター)
  • 杉田 義博(東京北社会保険病院)
  • 加藤 正哉(自治医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 持続可能なへき地・離島における保健医療を実現する方策を立案するために、へき地・離島における保健医療体制の現状および問題点を明らかにし、現在実際行なわれている保健医療政策の好事例を収集することを目的とした。
 合わせて、へき地・離島の保健医療に従事する医師を増加させるために、医師の研鑽等のための「へき地・離島医療マニュアル」を編纂した。
研究方法
 鹿児島県三島村、十島村、鹿島村、与論町、および島根県都万村、五箇村において、地域の保健医療福祉サービスの現状、疾患ごとの医療の満足度、充実を希望する専門診療科、受療行動などについて住民アンケートを施行した。北海道稚内市、利尻島、礼文島における脳血管障害を中心とする救急搬送システムについて現地調査を行なった。
 平成16年度へき地保健医療調査において、50%以上の診療所で行なわれている診療項目および50%以上の診療所長が行なうべきであるとした診療項目に、当研究班の検討においてへき地・離島の医療で必要であると判断した項目を付け加えた49項目について、現在あるいは以前にへき地・離島に従事した経験のある医師、放射線技師、保健師に執筆を依頼し、「へき地・離島医療マニュアル」を編集した。
結果と考察
 住民調査では、鹿児島県での調査において、島の規模、医療機関の違いによって受療行動は異なっており、島内で受診する理由や保健医療サービスに対する満足度に差が認められることが確認できた。島根県での調査では、生活においては離島の不自由を克服しているはずの住民が、医療においては大きな不満を持っており、都会と同様の高度に専門化した医療を受けることを望んでいることが判明した。このことは住民の医療に対する考え方を示すものであり、都市部の勤務を希望し、勤務時間外の拘束を嫌うなどの医師をはじめとした医療従事者の希望と合わせて対応することが必要となってきていると思われた。
結論
 へき地・離島の保健医療には、地理的条件に加えて、交通機関の状況・医療機関の整備状況に大きな差が認められる。持続可能なへき地・離島における保健医療を実現するためには、交通機関等の状況に関わらず最低限度の保健医療の恩恵を保証する全国的に基準作りが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-