医療関連死の調査分析に係る研究

文献情報

文献番号
200501318A
報告書区分
総括
研究課題名
医療関連死の調査分析に係る研究
課題番号
H17-医療-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 徹(国家公務員等共済組合連合会虎の門病院)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 吉田 謙一(東京大学大学院医学系研究科)
  • 城山 英明(東京大学大学院法学政治学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業は、死亡事例を法医、病理医が関連臨床医の立会いの下に解剖し、臨床経過を含めて死因を解明して、再発防止に向けての提言を行う中立的専門機関の運営方法やその法的整備等を検討するためのものである。本研究では、モデル事業に係わる諸学会、法曹界等との連携を図り、モデル事業運営上の問題点を専門的、学術的立場から検討する。
研究方法
モデル事業の窓口業務、解剖業務、臨床評価、報告書作成業務の実態を分析し、問題点を抽出した。窓口業務で重要な調整看護師の養成に向けての人材育成プログラムの開発と実施上の問題点を分析した。将来の制度化に向けて、本モデル事業の地域間での実施実態の差を分析して運用上の問題点を明らかにし、またモデル事業で得られた資料、情報の法的取扱いについても検討した。
結果と考察
このモデル事業は医師法21条に基づく異状死の届出に端を発している。司法当局からは過失の可能性があれば警察への届出を求められており、この点が本事業で議論の多い点であったが、事例のほとんどは警察での検視を経てモデル事業へ紹介されたものであった。まだモデル事業の周知度が低く、窓口では依頼病院、遺族への事業内容の説明に時間と労力が費やされ、事業のマンパワー不足と調整看護師の必要性が認識された。臨床医、病理医、法医の3者による解剖の有用性が認識されたが、学会から推薦された臨床立会医の立会いは難しく、また解剖結果報告書、評価結果報告書の作成にも多大な時間を要することが明らかとなった。遺族との対応における調整看護師の役割は大きく、人材養成が優先的課題であることも明らかとなった。モデル事業実施体制は、地域の解剖制度による地域差が大きく、全国的制度化に向けては警察との連絡体制や解剖医、臨床医の確保、財政的支援の問題を整備し、また情報の法的取扱い、公開の問題も法的に整理すべきものと思われた。
結論
医療行為に関連した死亡事例を中立的専門機関に届け出て、3者による解剖を行い専門家が臨床経過を含めて総合評価する試みは、本邦独特で極めて効果的と考えられるが、全国的制度化に向けては人的、組織的、法的、財政的な問題を整理検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-