国内外における医療事故・医事紛争処理に関する法制的研究

文献情報

文献番号
200501317A
報告書区分
総括
研究課題名
国内外における医療事故・医事紛争処理に関する法制的研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医療-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
藤澤 由和(新潟医療福祉大学社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 榮明(新潟医療福祉大学)
  • 寺野 彰(獨協医科大学)
  • 淡路 剛久(立教大学大学院法務研究科)
  • 加藤 久雄(慶応大学法学部)
  • パトリシア カツラー(University of Washington)
  • 西野 喜一(新潟大学大学院実務法学研究科)
  • 我妻 学(東京都立大学法学部法律学科)
  • 児玉 安司(三宅坂総合法律事務所)
  • 神作 裕之(東京大学法学部)
  • 岩田 太(上智大学法学部)
  • 平野 哲郎(龍谷大学法学部)
  • 山田 文(京都大学大学院法学研究科)
  • ルーク サトウ(Harvard Medical School)
  • 佐藤 雄一郎(横浜市立大学医学部)
  • 宮本 敦史(大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療事故・医事紛争処理に関して検討が必要と考えられる、①「国内外の医療事故情報の収集に関する法的・政策的論点」、②「国内外の医療従事者の免許・懲戒・専門医制度のあり方」、③「国内外の裁判外紛争処理(ADR)制度の現状とその方向性」、④「患者経験と医事紛争要因の実証研究」という4つの論点を設定し、かつ相互の論点の関係性を加味した上で、本邦における医療事故・医事紛争処理にかかわる上記論点の政策的方向性を法制度にまで踏み込んで検討することを目的とした。

研究方法
本研究は、上記の各論点について平行して研究を進めた。研究初年度にあたる平成17年度は、各論点の現状整理とその分析を行なった。具体的には、これまでの研究動向をふまえて先行研究の集約及び整理を軸として、各専門家との意見交換を行うとともに、必要に応じて海外の研究者より情報収集を行なった。
結果と考察
 ①「国内外の医療事故情報の収集に関する法的・政策的論点」の検討を通して、国内外の医療事故情報収集制度やその活動に関する状況が整理された。これにより、既存報告制度の政策上の有効性を検討することが可能となった。②「国内外の医療従事者の免許・懲戒・専門医制度のあり方」の検討を通して、現行の行政規制モデルと自己規制モデルに関する基礎的知見が整理され、医療従事者の専門性とその向上による医療事故及び医事紛争への論点を明確にすることが可能となった。③「国内外の裁判外紛争処理(ADR)制度の現状とその方向性」の検討を通して、国内外における先行ADR制度の実態に関する知見が得られた。これにより、医療版裁判外紛争処理制度に求められる制度的基盤、法的整備の問題点、および政策的な方向性に関しての論点整理が可能となった。④「患者満足と医事紛争要因の実証研究」の検討を通して、患者の真のニーズを把握するための実証データの必要性が明らかとなり、データ構築に関する方策とこれに関連して諸外国において議論されているOpen Disclosureに関わる研究と政策動向に関して検討を行うことが可能となった。
結論
 医療事故・医事紛争に関わる様々な諸問題点を整理し、政策上の論点を明確化した上で法制的な面にまで踏み込た検討していく必要がある。さらには、医療事故・医事紛争を事後対応の問題にとどめず、医療の質といった点をも視座に入れた医療制度全体を俯瞰する形での検討が今後は必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-