終末期医療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200501313A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療の質の向上に関する研究
課題番号
H17-医療-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
林 謙治(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、これまでの終末期医療に関わる研究結果や国民の意識調査、医療現場での課題を基に、法律を含め多側面から研究協力を得ることにより、社会的コンセンサス形成のための基盤作りをし、終末期医療における望ましい医療の内容として、インフォームドコンセントのあり方や患者の意思確認の方法と手続き、延命治療の差し控えや打ち切りに関する問題点を整理し、患者の立場からQOLを尊重した終末期医療の質の向上と普及を図るものとする。
研究方法
本研究初年度として、患者本人及び家族の意思確認方法、延命医療の差し控え、打ち切り(中止)の決定に係る手続き、ターミナル患者の緩和ケアへの対応・高齢者の終末期医療のあり方等について、現行法令に照らした問題点の把握のため、専門家・関係機関への調査を開始した。各ワーキンググループの協力により、法律関連、救急医療、在宅ケア・ホスピス、家族ケア、尊厳死のあり方などについて討議を深めた。また緩和ケア施設・在宅ホスピス訪問実態調査や国民の意識調査(H14年度)再分析を行うと共に、国内での終末期医療の意思決定や延命治療に関わるエビデンスの収集を行った。
結果と考察
研究計画当初の「検討会の開催」、「終末期医療における望ましい手続き及び問題点の調査検討」、がテーマ別に実施され、終末期医療におけるモデルとなる緩和ケア現場での具体策や教育用ツールからチェックリスト作成が可能となった。これらの成果は、患者への告知や意思確認方法、家族や介護者の意思確認、事前指示書(もしくはこれに準ずる記録)の有無、チーム医療体制の有無、疼痛緩和の実践、医療連携(掛かり付け医や在宅ケア、訪問看護、急変時対応など医療連携の課題)、倫理委員会の形態や執行状況等についてチェックが必要な具体的項目としてあげることが可能であり、次年度以降の研究として、他の緩和ケア施設・病棟だけでなく、一般病棟や療養病床・施設における実状調査へつなげるものとする。さらに、終末期医療の質を保証するためにはどのような指針がふさわしいか、ガイドライン作成にしても、どのように実効性を確保するか、社会の動向を見守りながら具体的方策案について提言する。
結論
今回の検討から、終末期医療には多様性があり、医療供給の場(緩和ケア、一般、療養、介護)において求められる意思決定や選択肢に差異があり、医療従事者においても意識の差があることが示唆された。今後は全国的な実態調査を開始するとともに、患者や家族の意思とQOLを尊重した終末期医療体制のあり方への社会的コンセンサス形成が重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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