医療の質向上のための質マネジメントシステムの実証研究

文献情報

文献番号
200501301A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質向上のための質マネジメントシステムの実証研究
課題番号
H16-医療-034
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
棟近 雅彦(早稲田大学理工学術院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では,ISO9001と病院機能評価項目を統合した医療の質マネジメント(以下QMS)システムモデルを,病院に導入,推進するための方法論を確立し,それを実際の病院に適用し,モデルおよび導入,推進の方法論の有効性を実証することを目的とする.
研究方法
 平成16年度においては,ISO9001および病院機能評価の過去の導入過程の調査と統合したQMSモデルの一部の試行適用により,問題点を明らかにする.これをもとに統合QMSの導入・推進手順の原案を考案する.平成17年度においては,この原案をいくつかの病院に適用し,適用上の課題を明らかにする.平成18年度においては,2年間の適用結果をもとに,統合QMSの有効性を検証し,導入・推進手順を完成させる.
結果と考察
 統合QMSの要素のうち,文書体系,医療安全管理者の役割,医療安全管理システム,質方針の達成に必要なプロセスである方針管理,事故分析手法,患者満足度調査について重点的に導入・推進を行った.文書体系については,従来多くの病院で曖昧であった責任権限の明確化,文書管理規定の確立に有用である文書体系を提案した.医療安全管理者,医療安全システムについても運用を開始した.これらの効果を検証するために,事故の分析内容,事故件数を調査したところ,プロセスに着目した対策の増加,他部門の業務内容に言及した対策の増加,事故件数の減少が確認できた.また,プロセスの改善に着目した事故分析手法の教育,運用も行い,継続的に活用を続けることでプロセス指向を実践できることを確認した.今後広く啓蒙していくために,医療従事者自身で導入,推進を行うための勉強会実施マニュアルと,教育用テキストを作成した.
 事故の減少は,QMSを運用する一つの目的であるが,最終的には患者満足度が向上するかについて確認する必要がある.これについては,治療結果を考慮した調査方法を提案し試行した.これについては,さらに長期間のデータを把握し,効果を確認する必要がある.
結論
 本研究では,統合QMSの原案を2病院に適用した.特に今年度は,統合QMSの要素となる文書体系の構築と適用,医療安全管理者の役割の明確化,医療安全システムの構築と適用,質方針達成のための方針管理の仕組みの提案,事故分析手法の提案と導入,教育モジュールの開発,患者満足度調査方の提案と実施などを行い,各提案事項の有効性を確認することができた.

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
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