患者/家族のための良質な保健医療情報の評価・統合・提供方法に関する調査研究

文献情報

文献番号
200501294A
報告書区分
総括
研究課題名
患者/家族のための良質な保健医療情報の評価・統合・提供方法に関する調査研究
課題番号
H16-医療-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 裕光(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 名郷 直樹(社団法人地域医療振興協会 地域医療研修センター)
  • 野添 篤毅(愛知淑徳大学文学部)
  • 杉江 典子(駿河台大学文化情報学部)
  • 阿部 信一(東京慈恵会医科大学医学情報センター)
  • 酒井 由紀子(慶應義塾大学医学メディアセンター)
  • 山口 直比古(東邦大学医学メディアセンター)
  • 諏訪部 直子(杏林大学医学図書館)
  • 松島 雅人(東京慈恵会医科大学)
  • 磯野 威(国立保健医療科学院研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在大量の保健医療情報が多様な媒体を通じて発信されているが、それらの有効性や信頼性などはその情報の利用者の判断に依存している。今後は、誤った情報を入手する可能性(情報リスク)や、インターネット環境の違いによる情報格差の拡大はますます大きな問題となるであろう。本研究では患者や家族が必要とする保健医療情報に関して、情報流通の現状と問題点の把握、情報評価手法の検討、一定の信頼性のもとに利用できる情報源の構築のための研究を行う。
研究方法
文献調査、アンケート調査、訪問調査、などの方法により、主に以下の点について検討した。1)情報提供の側面:①一般向け保健医療情報サービスの現状、②公共図書館等における消費者健康情報サービスに関する実情調査、③米国における国立健康情報基盤の構造や体制などの消費者健康情報サービスに関する実態調査、④病院等における患者図書館による患者/家族への情報サービスに関する調査、⑤望ましい患者図書館モデルを検討、など。2)情報評価の側面:インターネット上で流通している情報の評価に関して、情報検索手法の批判的吟味、情報評価ガイドラインなど。3)情報統合化の側面:臨床医と患者・家族の情報ニーズと問題解決法、臨床医における情報ニーズ/入手および適応、保健医療情報源の国際協力、など。
結果と考察
本年度では主に以下のような結果が得られた。1)新聞が発信する情報の中で保健医療情報の占める割合は図書や雑誌などと比較すると少ない。2)病院図書館の保健医療情報サービスについては、患者からのニーズはあるものの人材や予算的な課題を抱えている。3)臨床医に対して診療のために提供される文献検索や図書館等による情報の有益性や満足度はひじょうに高い。4)一般向けの二次資料や、ウェブ上の情報源についてはその信頼性が問題となる。5)米国における一般向け健康情報サービスやヘルスIT構想は、患者のための情報サービスの一例として参考にすべき点が多い。これらの結果は保健医療情報利用者のニーズや媒体の多様化傾向を示しているが、現状では情報の内容についての標準化や信頼性確保などについては未解決である。
結論
一般に保健医療情報に対するニーズはきわめて高い。これに対して情報提供の媒体は様々であるが、必ずしも信頼性の高い情報のみが供給されているわけではない。情報提供のためのシステムの効率性のみならず、その内容の信頼性の確保が今後の大きな課題である。

公開日・更新日

公開日
2007-10-05
更新日
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