外来主要疾患診断における各問診項目の操作特性に関する研究

文献情報

文献番号
200501292A
報告書区分
総括
研究課題名
外来主要疾患診断における各問診項目の操作特性に関する研究
課題番号
H16-医療-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
生坂 政臣(千葉大学医学部附属病院(総合診療部))
研究分担者(所属機関)
  • 馬杉綾子(千葉大学大学院医学研究院先端応用医学研究部門(先端応用学講座))
  • 金信浩(千葉大学医学部附属病院(総合診療部))
  • 三笠グラント(千葉大学医学部附属病院(総合医療教育研修センター))
  • 大平善之(千葉大学医学部附属病院(総合診療部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 一般外来での高頻度疾患に対する各問診事項の操作特性を明らかにし,効率的かつ正確な病歴聴取術を確立する.科学された病歴聴取法が体系化されれば,検査を最小限に抑え,費用対効果の高い診療の浸透を期待できる.
研究方法
 文献収集により,高頻度疾患の診断に必要な問診事項を収集し、これらの問診事項をプログラムされたタッチパネル方式の入力装置を用いて,外来医に問診データを入力させる.その後、各問診事項の感度と特異度と有病率から効率的な主訴別の診断アルゴリズムを作成する. 
結果と考察
 研究2年目である本年度は、めまい、頭痛、手のしびれ、腹痛に関して調査を行った。めまいについては、原因疾患としての頻度が高かった良性発作性頭位めまい症(以下BPPV),うつ病における問診事項の操作特性を検討したところ、BPPVでは「床の中で寝返りをうった時」の陽性尤度比 6.8, 陰性尤度比 0.23と最も有用な情報であり、時間的特徴としては「症状が一日で変化する」が有用な情報であった.うつ病においては、「頭部CTまたはMRI検査を受けたことがある」や、めまい以外の愁訴を伴うことが多いことが示唆された.
 頭痛に関しては、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、後頭神経痛,うつ病における問診事項の操作特性を検討した。片頭痛では、「体動での増悪」の陽性尤度比が6.68と最も高く、「頭痛で寝込む」(陽性尤度比 3.03,陰性尤度比 0.23)も有用であった。これに対し,群発頭痛の患者においては「痛みがひどくてじっとしていられない」の陽性尤度比が3.05と高値を示した.うつ病では「飲酒量を減らそうと思った」の陽性尤度比が19.2と高く,後頭神経痛では「電気が走るようなピリピリした痛み」が陽性尤度比 13と最も高い問診項目であった.「突然発症」の問診項目では,全体の中で後頭神経痛の陽性尤度比 2.9が最も高かった.
 手のしびれに関しては、手根管症候群に対する問診事項の操作特性を検討し、「女性」,「1日の中でしびれが最も悪いのは朝」,「手を振ると症状は楽になる(いわゆる”flick sign”)」の陽性尤度比が高く,有効な質問と考えられた.また「動作によりしびれが悪化する」,「細かい作業など,手を良く使う」の質問も陽性尤度比が高く, 手根管症候群を顕在化する要因である手関節の過度の使用が示唆された.
結論
 BPPV,うつ病、手根管症候群、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、後頭神経痛などの疾患に対する問診事項の操作特性に関して有用な結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-10-09
更新日
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