医療・看護事故(インシデントを含む)をエビデンスにした看護技術の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200501289A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・看護事故(インシデントを含む)をエビデンスにした看護技術の標準化に関する研究
課題番号
H16-医療-022
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川嶋 みどり(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、看護基礎教育における看護技術教育を安全性の視点から検討し、看護技術教育における基準(教育内容・教育方法・教育教材の開発を含む)を作成することである.平成17年度の目的は以下の通りである。1)臨地実習における学生のヒヤリ・ハット体験調査データの数量的・質的分析を実施。特にメタ認知の視点からヒヤリ・ハット発生状況の特性、学生の思考・行動特性の明確化。2)1)を踏まえ、教育教材テキスト素案の作成。
研究方法
調査協力を得た看護専門学校22校、短期大学11校、大学38校、合計71校を対象とし、8511名に調査用紙を配布、回収数は1522名(回収率17.9%)であった。うち自由記述によるヒヤリ・ハット体験は602事例の記述があった。
結果と考察
学生のヒヤリ・ハット体験は「体位姿勢の保持移動」「生活環境整備」約5割、「保清整容」「滅菌操作・医療廃棄物取扱」「食事」「観察報告」が約3~4と多かった。教育機関別では「生活環境整備」「滅菌操作・医療廃棄物取扱」「体位姿勢の保持移動」「保清整容」「食事摂取」などのに有意差が認められ、専門学校生の方がヒヤリ・ハット体験が多かった。体験事例を看護技術項目毎に分類し、学生のヒヤリ・ハット危険予測の特徴として(1)危険の予測を全くしていない技術(2) 何となく危険を感じていても判断できなかった/危険を予測しても回避する行動に結びつかなかった技術(3)危険を予測して配慮したが十分ではなかった技術に大別された。また学生と指導者/教員の相互作用、学生・患者の相互作用、学習環境要が複雑に絡み合いヒヤリハット体験を構成していると考えられた。
結論
平成17年度は、前年度に実施したデータの詳細な分析を実施し、看護学実習における学生のヒヤリ・ハット体験の実態、思考の特徴、指導者/教員のかかわりの特徴が明確になった。またそれらの結果に基づき、教材テキスト原案となる典型事例を作成した。平成18年度(最終年度)は、1)初学者である学生が安全な看護技術を習得するプロセスにおいて強化すべき能力を明確化し、教育方法、教材を開発する。2)作成/開発した教育方法・教材の妥当性を検討することを課題とする。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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