政府の役割と質・安全・公平から見た地域医療システム運営の評価手法と改善誘因の研究

文献情報

文献番号
200501285A
報告書区分
総括
研究課題名
政府の役割と質・安全・公平から見た地域医療システム運営の評価手法と改善誘因の研究
課題番号
H16-医療-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学院医療管理学分野)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部)
  • 木嶋 恭一(東京工業大学院社会理工学研究科)
  • 工藤 裕子(中央大学法学部)
  • 吉田 忠彦(近畿大学商経学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度は医療計画の見直しに実際に役立つ情報を得ることに重点を置いた研究を行った。
研究方法
Ⅰ.医療計画制度研究
1.医療計画を取り巻く状況の考察-今日の医療計画を取り巻く環境をまとめた。
2.医療計画制度的評価-医療計画の効果の評価を行った。
3.医療計画の記載内容の考察-医療計画中で取り上げるべき事項、圏域などについて見直した。4.県の計画執行管理の検討-執行が成功しない原因を検討した。
Ⅱ.参加型計画手法研究
1. 新計画手法検討-具体的な医療計画策定方法の研究を行った。
2.模擬的計画策定-新手法が利用可能か実験的に計画策定を行った。
3.指標の利用による計画策定の検討-計画で把握すべきとされているがん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病の県別ベンチマーキングをした。
4.マニュアル作成-実際に計画を策定する場合に担当者が用いることを想定した計画策定マニュアルを作成した。
Ⅲ.医療機関の連携に関する研究
1.クラスター概念の検討-連携の現状をふまえ経営学のクラスター概念導入の有効性について検討した。
結果と考察
Ⅰ.医療計画制度研究
1.医療計画を取り巻く状況の考察-政府は市場の調整者機能が求められている。また医療制度改革では外国では効率的なシステム設計に関心がおかれていた。
2.医療計画制度的評価-3Eについて評価した結果、計画施行後にシステムが改善されていた。
3.医療計画の記載内容の考察-質の高い医療といった個人単位の視点が不可欠である。
4.県の計画執行管理の検討-目標を持たず県の持つ実現への誘因、権限が不明確であることが問題である。
Ⅱ.参加型計画手法研究
1.新計画手法検討-疾病の自然史に沿ったシナリオアプローチを考案した。
2.模擬的計画策定-シナリオによる情報の共有では参加者から評価が得られたが問題として専門外の疾病の議論の困難さが指摘された。
3.指標の利用による計画策定の検討-がん入院受療率は上位1位沖縄、喫煙率は上位1位鹿児島だった。
4.マニュアル作成-新手法により参加、評価が可能なマニュアルを作成した。
Ⅲ.医療機関の連携に関する研究
1.クラスター概念の検討-医療機能の場合、個別事業では戦略がたてにくく企業で行われているクラスターを想定する事が有用である。
結論
医療計画評価を改めてみると今日の課題を反映していない、実施するための手段に乏しいというものであり新医療計画で斟酌すべき事項である。提案された手法は医療分野のみならず情報の非対称性が指摘される環境問題などの分野でも援用できる。来年度も合意手法検討、実現のための誘因の実証的研究等を行う。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-