歯科医療における院内感染防止システムの開発

文献情報

文献番号
200501282A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科医療における院内感染防止システムの開発
課題番号
H16-医療-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
泉福 英信(国立感染症研究所(細菌第一部))
研究分担者(所属機関)
  • 公文裕巳(岡山大学(大学院医歯学総合研究科泌尿器病態学))
  • 高柴正悟(岡山大学(大学院医歯学総合研究科歯周病態学))
  • 西村英紀(岡山大学(大学院医歯学総合研究科歯周病態学))
  • 狩山玲子(岡山大学(医学部・歯学部付属病院泌尿器科))
  • 小森康雄(東京医科大学(口腔外科))
  • 苔口 進(岡山大学(大学院医歯学総合研究科口腔微生物学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科医療を行うにあたって、その安全性の確保は最も重要な課題であるが、院内感染のリスクは未だ減少しておらず、その監視体制の整備が望まれている。院内の環境や歯科用材料・器具・医療機器に形成される細菌、真菌などによるバイオフィルムは外因的ないし内因的要因により供給され消毒薬に抵抗性を示し、そのことが院内感染の要因となる可能性が高い。重度の歯周病患者の場合、治療中出血しその中に含まれる病原性ウイルスも院内感染リスク要因となりうる。バイオフィルム細菌やウイルスの歯科医院における汚染が危惧されているにもかかわらず、院内感染防止において病原性微生物に特化した監視体制は整備されていない。このような院内感染に関る問題点を解決するために、本研究では歯科医療における院内感染防止システムを開発することを目的にしている。
研究方法
歯科医師7183人に院内感染に関するアンケート調査を実施し、有効回答のあった2760人を対象に分析を行った。また歯学部1, 2年生さらには歯科臨床実習中の歯学部6年生に対してもアンケート調査を行った。歯科医院 3 施設の歯科用ユニットからの配水の病原微生物の検出検査を行った。全身疾患患者、骨髄移植患者のような易感染性宿主および歯周病患者の歯科治療および口腔清掃時の飛沫汚染を検査するためにLAMP法による迅速検出法やキャピラリーフローセルなどを用いたバイオフィルム形成の評価を行った。
結果と考察
アンケートの分析結果により、講義を中心とする大学教育と卒後教育が歯科医院による院内感染対策を進める上で重要であることが明らかとなった。このような大学教育や卒後研修による院内感染対策の意識向上が、HIVなどの感染症患者に対する歯科治療の受け入れ行動などに反映していくと考えられた。歯科用ユニット内配水の病原微生物を同定および評価やリアルタイムPCR、LAMP法やキャピラリーフローセルなどを用いて、歯科用医療器具や機材への病原微生物の付着やバイオフィルム形成能を検討することができ、院内感染防止方法の確立のための重要な情報を得ることができた。
結論
講義による大学教育、卒後研修が重要であり、それらが院内感染対策やHIVのような全身感染症を有する患者の歯科治療の受け入れ行動に反映していく。そのことを踏まえ、検査システムの構築、院内感染対策マニュアル作成およびその大学教育、卒後研修の講義システムの構築を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
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