救急医の養成と確保法についての研究

文献情報

文献番号
200501281A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医の養成と確保法についての研究
課題番号
H16-医療-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(大阪大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 田中 裕(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 島崎 修次(杏林大学医学部)
  • 行岡 哲男(東京医科大学)
  • 寺井 親則(宮崎大学医学部)
  • 坂野 勉(島根大学医学部)
  • 木下 順弘(熊本大学医学部)
  • 平出 敦(京都大学医学部)
  • 八木 啓一(鳥取大学医学部)
  • 池上 敬一(獨協大学越谷病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医の原点、根源的医療である救急医療で中心的な役割を果たす救急医を養成・確保するための方策を見出すこと。
研究方法
1)三位一体改革に伴う救急医療体制の改編のあり方についての検討
救命救急センターの安定運営確保のための具体的方策の叩き台案を提示・検討した。
2)全国の救急医の意見集約
第33回日本救急医学会総会で3日間連続延べ12時間に及ぶ異例のシリーズ・ワークショップ「救急医療を考える-明るい未来を拓くために今―」を企画立案・運営した。
結果と考察
1)三位一体改革に伴う救急医療体制の改編のあり方についての検討
救命救急センターは、1.地域救急医療レベルの向上・維持、2.救急医の勤務・活動拠点、3.新しい救急医の養成の場、としての機能を有していることから、救命救急センターが将来にわたって安定して運営できるシステムを構築することは最優先課題である。検討結果の骨子は以下の通り。
1.救命救急センターの運営補助金の早晩廃止、2.施設基準と監視体制の下で救命救急センターの開設を自由化、3.救命救急センターは日本救急医学会指導医、救急科専門医常時1名以上勤務、勤務時間週40時間、連続勤務12時間以内、4.院内ICUとの共用認可、5.傾斜入院料、救命救急センター初診料、院内発生救急患者に対する救命救急入院料算定、
2)全国の救急医の意見集約
1.救急医療の枠組み、2.救急医療教育、3.救急医の役割、4.救急医療の採算性、5.救急医の労働条件、6.地域における救急医療体制の評価 の6テーマについて、3日間連続延べ12時間に及ぶシリーズワークショップを行い、連日超満員で白熱した論議が繰り広げられた。ワークショップで得られた成果を整理し、日本救急医学会雑誌に掲載すべく準備中である。
結論
救命救急センターは救急医療体制の核であり、救急医療のレベル向上・維持、救急医の養成・確保の上で、将来にわたり安定的に運営されなければならない。そのためにはネガティブな側面が現れ始めた運営補助金制度を早晩廃止し、明文化された厳密な施設基準と監視体制のもとで開設を自由化するとともに現行保険制度の中で実現が可能な収益性の改善を図り、効率的な運営を導き出すことが必要である。
救急医療は個々の病院ではなく地域全体で完結すべきものであり、それぞれの地域の特徴に応じて役割分担を行なうのが望ましい。様々な地域で様々な立場で勤務するできるだけ多くの救急医の意見を聴取し、いくつかのモデルを提示することが実効性を有する提案につながる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
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