救急医療評価スタンダードとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究

文献情報

文献番号
200501280A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医療評価スタンダードとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究
課題番号
H16-医療-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学総合研究所医療管理学)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部救急医学)
  • 堀 進悟(慶応義塾大学医学部救急医学)
  • 箕輪 良行(聖マリアンナ医科大学救急医学)
  • 石原 哲(白鬚橋病院院長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦の救急医療の需要は年々増加し平成15年には救急自動車搬送人員は457万7千人となっている。この内、軽症が51.3%、中等症が36.7%と合計で約90%を占め、その多くは二次救急医療機関に搬送されている。このため地域二次救急医療機関の救急医療の質を評価することは極めて重要である。また、救急患者の原因疾患は、平成15年は急病が58.4%と、交通事故または一般負傷を合わせた26.4%の2倍以上で過半数を占めている。国民の高齢化などにより疾病構造が変化し、救急医療の需要が質、量ともに変化しつつあることを鑑みて、将来を見通した救急医療体制の今後のあり方について、及びそれに基づく救命救急センターの新たな評価基準について検討した。
研究方法
現在および将来の救急医療に関する需要と救急科専門医や医療施設などの人的物的資源について具体的に分析し、地域救急医療体制の中核を担うべき救命救急センターの新たな評価基準を策定した。重症外傷患者の予後調査を行うため、日本外傷データバンクによって外傷症例を登録・分析した。AIS (Abbreviated Injury Scale)が AIS 90 update 98からAIS 2005へと改訂されたのを受けて、AISに関する指導者講習と講演会を行った。外傷手術の標準化を目指した手術手技トレーニングコースの確立を目指して豚を使ったモデルコースを実施した。
結果と考察
質の高い救急医療を提供していくためには、一定数以上の重症患者を集約することを前提とし、重症度・緊急度によって医療機関が選択できる救急医療体制の構築が必要であると判明した。日本外傷データバンクには、平成18年3月末の時点で62施設が参画し、2004年患者数4075例、2005年4268例、2005年3月まで530例の合計8873例の外傷例が登録された。
結論
長期的に継続可能な救急医療体制として、交代勤務制などへと労働環境を改善した上で、救急科専門医の役割を明確にして、その確保が必要となる。救命救急センターの新たな評価基準については、救命救急センター内で行われる診療のみを評価するのではなく、救命救急センターを有する医療機関において全診療科の協力の下で、どのように重症救急患者に医療が提供されているのかという診療の過程と結果を評価していくことが重要であった。同時に救命救急センターは地域救急医療体制における病院間連携の要となることも重要であった。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-