医療効果・経済効果を目的とした遠隔病理診断の実用化とこれに関する次世代機器の調査・開発

文献情報

文献番号
200501264A
報告書区分
総括
研究課題名
医療効果・経済効果を目的とした遠隔病理診断の実用化とこれに関する次世代機器の調査・開発
課題番号
H15-医療-029
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 高志(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 井藤 久雄(鳥取大学医学部基盤病態医学講座器官病理学分野)
  • 猪山 賢一(熊本大学医学部附属病院病理部)
  • 宇月 美和(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 小林 紘一(慶應義塾大学医学部呼吸器外科)
  • 谷田 達男(岩手医科大学医学部呼吸器外科)
  • 土橋 康成((財)ルイ・パストゥール医学研究センター臨床病理研究部)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科)
  • 長谷川 高志(東北大学先進医工学研究機構)
  • 古谷 敬三(愛媛県立中央病院病理部)
  • 吉見 直己(琉球大学医学部病態解析医科学講座腫瘍病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遠隔病理診断(テレパソ)の普及を目的として行われた事業内容ついて今回はソフト面とハード面に分けて検討した。
1)ソフト面では、テレパソの普及にあたっての社会情勢、医療問題を検討した。
a) 肺癌治療をモデルにした医療、経済効果の検討
b) 保険導入を目指して必要経費の算定
c) テレパソの応用分野の拡大
d) ガイドラインの策定とセキュリティーの検討

2)ハード面ではITの進歩に伴い、大容量の通信手段に合わせたテレパソの開発を行った。
a) 光ファイバーによる動画システムの実用化と普及
b) インターネットを利用して行うソフトの開発
c) バーチャルスライドなど周辺環境の整備の検討
研究方法
1)テレパソにおけるソフト面の課題
a) 肺癌手術におけるテレパソ利用の医療、経済効果を手術件数、手術方式、人件費、現在の保険点数などから算定した。
b) 保険点数の導入は遠隔加算、送信側(臨床側)、診断側(病理側)の経費を算定し、厚労省に要求した。
c) テレパソ利用のためのガイドラインを作成し、病理学会に提出した。
d) 移植、血液、前立腺、乳腺などテレパソの応用分野の拡大を検討した。
e) テレパソについて市民のアンケート調査を実施した。

2)テレパソにおけるハード面での課題
a)民間企業と共同で開発した光ファイバーによる動画のテレパソの普及を図るとともにハイビジョンやモバイル形式について検討した。
b)インターネットを利用したテレパソのソフト開発を行った。
c)血液、移植、細胞診の分野など地域でおこなわれているテレパソ、テレサイトロジーの調査について可能性を検討した。
d) テレパソが社会的に普及するために必要な機器を検討した。
結果と考察
今回、ソフトの面ではテレパソの経済効果、医療効果が証明され、実用化にあたってのガイドラインも整備された。また、応用分野も拡大した。ハード面では、光ファイバー/動画が実用化されたことで迅速診断に要する時間が短縮され利便性も増した。今後、普及を図るには、機器導入のための経費やルーチン化に対する料金の制定が課題である。
結論
テレパソロジーの有用性は確認され、地域医療に大きく貢献している。今後は、ITの進歩を取り入れながら操作が簡単で性能の優れた機器の開発、料金制度の導入など医療制度を整備して普及のための環境を作りあげていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-10-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200501264B
報告書区分
総合
研究課題名
医療効果・経済効果を目的とした遠隔病理診断の実用化とこれに関する次世代機器の調査・開発
課題番号
H15-医療-029
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 高志(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 猪山 賢一(熊本大学医学部附属病院病理部)
  • 井藤 久雄(鳥取大学医学部基盤病態医学講座器官病理学分野)
  • 宇月 美和(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 黒瀬 顕(岩手医科大学医学部病理学第一講座)
  • 小林 紘一(慶應義塾大学医学部呼吸器外科)
  • 谷田 達男(岩手医科大学医学部呼吸器外科学)
  • 土橋 康成(財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター臨床病理研究部)
  • 東福寺 幾夫(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科)
  • 長谷川 高志(東北大学先進医工学研究機構)
  • 古谷 敬三(愛媛県立中央病院病理部)
  • 吉見 直己(琉球大学医学部病態解析医科学講座腫瘍病理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遠隔病理診断(テレパソ)の普及を目的として問題となる課題を分析し、実用化推進の対策を検討した。
1)テレパソ普及の社会的課題として以下の検討を行った。
a) テレパソによる医療効果、経済効果の検討
b) 必要経費の算定と公費負担の見直し
c) 応用分野の拡大
d) ガイドラインの策定とセキュリティーの検討

2)ハード面ではITの進歩に伴い、大容量の通信手段に合わせたテレパソの開発。
a) 大容量通信(光ファイバー)を利用したテレパソ機器の開発
b) インターネットの活用
c) 新しいIT機器や方式の活用の開発と実用化
研究方法
1)テレパソにおけるソフト面の課題
a) 医療効果、経済効果は肺癌手術をモデルに検討した。
b) 必要経費の算定にあたっては、送信側(臨床側)、診断側(病理側)の経費と機器購入、通信費用を算定し保険診療導入を申請した。
c) 病理医や医療機関にむけてのテレパソ利用のためのガイドラインの作成をおこなった。
d) 医療、教育、研究分野における応用分野の拡大を検討した。
e) 最近の我が国の実績をまとめると同時に市民へのアンケートを実施した。

2)テレパソにおけるハード面での課題
a)光ファイバーによる動画形式、インターネットを利用したメール形式、web 方式を検討し、さらにハイビジョンやモバイル形式についても検討した。
b)最近実用化されつつあるバーチャルスライドの応用、DVDの活用について検討した。
結果と考察
3年間での大きな成果は、本会で提唱された光ファイバー/動画が実用化され、迅速診断に要する時間が大幅に短縮され利便性が増したことである。テレパソは診断病理医が少ない我が国においては、病理診断を補助する大きなツールとなることが証明されたが、今後の拡大を図るには、機器導入のための経費や実用化のための費用の維持が課題といえる。
結論
テレパソロジーの有用性と医療に大きく貢献していることが証明された。今後はu-Japan 構想に沿ってITの進歩を取り入れながら、簡単な操作で性能の優れた機器の開発と同時に料金制度の導入など医療制度の整備を図ることが課題である。今後は地域の医療レベルの向上を図るためテレパソの積極的導入が期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-10-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501264C