精神科看護における介入技術の明確化および評価に関する研究-精神科訪問看護と急性期病棟における看護業務-

文献情報

文献番号
200501256A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科看護における介入技術の明確化および評価に関する研究-精神科訪問看護と急性期病棟における看護業務-
課題番号
H15-医療-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
萱間 真美(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 有紀(東京大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神科訪問看護において提供されている、看護ケアの内容を帰納的に抽出し、整理すること。加えて、精神科訪問看護において使用されている記録様式を分析し、利用者のアセスメントの視点を整理すること。
研究方法
精神科訪問看護を提供している医療施設および訪問看護ステーションに所属する訪問看護師18名を対象に、訪問看護で提供しているケアの内容について、クリティカルインシデント法を用いてインタビュー調査を行った。インタビューデータを質的に分析し、提供されている看護ケアの内容を、看護の焦点ごとに体系的に整理した。また、首都圏内で訪問看護を提供している病院7施設より、訪問看護で用いている記録用紙を提出してもらい、利用者をアセスメントする視点について分析した。なお、本研究は聖路加看護大学研究倫理審査委員会の承認を受けて行い、対象者には書面による説明と同意を得て調査した。
結果と考察
精神科訪問看護において提供されているケア内容は、1)日常生活の維持・生活技能の獲得・拡大、2)対人関係の維持・構築、3)家族関係の調整、4)精神症状の悪化や増悪を防ぐ、5)身体症状の発症や進行を防ぐ、6)ケアの連携、7)社会資源の活用、8)対象者のエンパワーメント、の8つの看護の焦点に整理された。さらに、それぞれの看護の焦点は、ケアの領域に分けられ、具体的な看護ケアのコンテンツが整理された。記録用紙の分析からは、上記の看護の焦点に対応したアセスメントの視点が抽出された。訪問看護で提供されているケアの内容を、帰納的に抽出し、整理したことは、大きな成果であり、今後はこれらの結果を元に、対象者の特徴とケアの内容、アウトカムの関連を検討すること、適切な支援のあり方について検討することが期待される。また、本研究で得られた看護の焦点やアセスメントの視点から、精神科訪問看護では、利用者の精神症状や身体状態に働きかけながら、利用者の生活全般に働きかけるケアを行っていた。地域で生活する精神障害者を支援するサービスには、多職種が関わっているが、その中で訪問看護の専門性が整理されたことは、意義ある結果と考える。
結論
精神科訪問看護では、利用者の精神症状や身体状態への働きかけを通じて、利用者の生活全般に働きかけるケアを行っており、訪問看護の専門性が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501256B
報告書区分
総合
研究課題名
精神科看護における介入技術の明確化および評価に関する研究-精神科訪問看護と急性期病棟における看護業務-
課題番号
H15-医療-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
萱間 真美(聖路加看護大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 有紀(東京大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、精神障害者の地域生活を促進するために必要な、精神科訪問看護と精神科急性期入院治療が効果的に提供されるよう、精神科訪問看護の効果とサービス内容を明らかにする(研究①)とともに、急性期入院治療で有用なクリニカルパスの開発過程を明確にすること(研究②)を目的として行った。
研究方法
研究①では、精神科訪問看護を利用している統合失調症患者について、訪問看護開始前後2年間の入院状況、受診状況、社会資源の利用状況等を調査し、訪問看護開始前後での比較を行った。あわせて医療費を試算し、医療費の変化を比較した。また、精神科訪問看護師へのインタビュー調査を質的に分析し、訪問看護で提供されるサービスの内容を体系的に整理した。
研究②では、精神科急性期病棟において急性期クリニカルパスを作成し、そのプロセスを記述し、クリニカルパス導入に伴う組織の動きや困難について整理した。
結果と考察
研究① 精神科訪問看護の利用後は、利用前に比べて、精神科入院日数が平均279.3日から74.0日への統計的に有意に減少した。それに伴い、1人あたりの患者に要する医療費も、平均3,658,841円から2,954,346円への統計的に有意に減少した。また、精神科訪問看護において提供されているケア内容は、1)日常生活の維持・生活技能の獲得・拡大、2)対人関係の維持・構築、3)家族関係の調整、4)精神症状の悪化や増悪を防ぐ、5)身体症状の発症や進行を防ぐ、6)ケアの連携、7)社会資源の活用、8)対象者のエンパワーメント、の8つの看護の焦点に整理された。訪問看護では、利用者の精神症状や身体状態への働きかけを通じて、利用者の生活全般に働きかけるケアを行っており、多職種が関わる地域ケアにおける訪問看護の専門性が明確になった。
研究② 精神科急性期クリニカルパスの開発にあたり、検討委員会、ワーキンググループ、チーム等が組織された。多職種からなるワーキンググループの活動を進め、機能的な組織を形成することで、クリニカルパスの作成が促進されることが示された。
結論
精神科訪問看護が、地域生活の継続やそれに伴う医療費の減少に一定の効果を示すこと、訪問看護のサービス内容を明らかにしたこと、ならびに急性期クリニカルパス開発のプロセスを明確にしたことにより、精神障害者の地域生活に必要なサービスのあり方について、重要な資料を提示できたと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501256C