死体検案業務の質の確保等に関する研究

文献情報

文献番号
200501251A
報告書区分
総括
研究課題名
死体検案業務の質の確保等に関する研究
課題番号
H15-医療-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 謙一(東京大学大学院医学系研究科法医学講座)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院医学情報ネットワーク研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故の再発予防や医療の質の向上のための社会的基盤の改善を目指して、異状死の取り扱いに関わる体制整備や検案・解剖の質の向上に寄与するための政策提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.オーストラリアのヘルスサービスコミッショナーによる公的調停制度に関する研究
オーストラリアのビクトリア州の各種行政機関・司法機関・大学・病院・裁判所・医師保護機関・患者側アドボケート・医療ジャーナリスト・医療弁護士・医療保険専門家に対して面接調査を実施した。
2.医療関連死及びその周辺環境-特にADRの適用可能性-等に関する研究
文献調査、「診療に関する調査分析モデル事業」関係者とのディスカッション、事故被害者ないし加害者との面接調査を実施した。
3.医療関連死の症例データベースについての調査研究
オーストラリア・ビクトリア州のクリニカルリエゾンサービスのIT活用について、現地で資料収集・視察を行い、その意義と役割を検討した。
結果と考察
1.オーストラリア、ビクトリア州のヘルスサービスコミッショナーの役割は、患者の苦情を裁判外紛争処理により調停すること、医療情報を管理すること、医療の質の向上に役立つ評価をし、方法を示唆することにある。これは、個人の責任を追及する裁判に比べて、システムエラーの原因を究明し、事故の予防に役立てる点ですぐれている。日本においても、同様の機関をつくることが望ましい。
2.多様なレベル(病院内、地域、モデル事業)で、患者・遺族と医療従事者との間を橋渡しするために、①医療におけるADR制度の構築、②中立的第三者(メディエーター)の養成プログラムの開発、③実際の事例からの学ぶ仕組みの開発、を総合的に推進する必要がある。
3.医療関連死症例をデータベース化することは、クリニカルリエゾンサービスの質を高めるために重要である。日本においても、同様の制度を導入する際には、データベース化が望まれる。
結論
わが国の医療の質を向上させるには、死体検案業務の質を高めることと併せて、裁判外紛争処理の制度をつくり、医療関連死に関する情報を管理し、データベース化することによって、システムエラーの原因を究明し、事故予防に役立てる体制を構築することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200501251B
報告書区分
総合
研究課題名
死体検案業務の質の確保等に関する研究
課題番号
H15-医療-016
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 謙一(東京大学大学院医学系研究科法医学講座)
  • 稲葉 一人(科学技術文明研究所)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院医学情報ネットワーク研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故の再発予防や医療の質の向上のための社会的基盤の改善を目指して、死体検案業務の質の向上および異状死の取り扱いに関わる体制整備に寄与するための政策提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.「死体検案講習会のプログラムの開発・実施・評価」として、検案業務に携わる医師を対象にした研修プログラムを開発し、実施、評価した。
2.「オーストラリア、ビクトリア州における医療関連死調査の取り組みの実態調査」として、同州の各種行政機関・司法機関・大学・病院・裁判所等の関係者に対して面接調査を実施した。
3.「医療における裁判外紛争解決と調停に関する研究」として、米国における調査、文献調査、診療に関する調査分析モデル事業関係者とのディスカッション、事故被害者ないし加害者との面接調査を実施した。
4.「死体検案情報のデータベース化とその活用の可能性に関する研究」として、オーストラリア・ビクトリア州の異状死症例データベースシステムとクリニカルリエゾンサービスについて、現地で資料収集・視察を行い、その意義と役割を検討した。
結果と考察
1.2日間+見学実習+1日間からなる死体検案講習会は、全国で検案業務に携わっている医師のニーズに合致しており、技術向上や動機付けに有用である。
2.医療関連死の場合、患者・遺族と医療従事者との間を橋渡し、その経験を事故予防に生かすために、医療における裁判外紛争処理制度の構築、中立的第三者の養成プログラムの開発、実際の事例からの学ぶ仕組みの開発、を総合的に推進する必要がある。
3.予防可能な死の原因を発見し、その対策の効果を評価するために、異状死症例データベースが、医療事故の原因究明と事故予防のために医療関連死データベースの構築がそれぞれ必要である。
結論
今後は以上の結果を踏まえ、死体検案業務の質の向上に努めるとともに、検案業務を巡る体制整備を推進する必要がある。また、わが国の医療の質を向上させるには、裁判外紛争処理の制度をつくり、異状死や医療関連死に関する情報を管理・データベース化することによって、その原因を究明し、事故予防等の対策に役立てる体制を構築することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501251C