文献情報
文献番号
200501248A
報告書区分
総括
研究課題名
地震災害に対応した医療施設の配置計画に関する研究
課題番号
H15-医療-013
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小林 健一(国立保健医療科学院施設科学部)
研究分担者(所属機関)
- 山下 哲郎(名古屋大学工学部)
- 宇田 淳(広島国際大学医療福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、大規模な地震の発生が想定される地域の医療施設の配置状況を、地理情報システム(GIS)を用いたシミュレーション手法により評価する方法を検討・開発することである。3年計画の3年目である平成17年度は、平成16年10月の新潟県中越地震により病院建物が被害を受けたことを踏まえて、わが国の病院建物の耐震性及び地震発生時における医療の提供機能について検討することを目的として研究を実施した。
研究方法
わが国の病院の地震対策に関する実態を把握するため、平成17年1月末現在の全病院(9064施設)を対象として郵送によるアンケート調査を行った(四病院団体協議会との合同調査)。調査票の内容は、建物の構造的耐震性や給水設備・電気設備などのハード面、および防災計画の策定や燃料の確保などのソフト面における地震対策の実施状況を問うもので、有効回答数は6843(有効回答率75.5%)であった。
結果と考察
建物の構造的耐震性については、すべての建物が新耐震基準(昭和56年)を満たしているのは2494病院(36.4%)、一部の建物が新耐震基準であるのは2482病院(36.3%)、新耐震基準により建設された建物がないのは1209病院(17.7%)であった。耐震診断を受けたことがあるのは976病院で、このうち64.8%にあたる632病院が「耐震補強が必要」と診断されており、実際に耐震補強工事をすべて完了している病院は166病院(耐震補強が必要な病院の26.3%)であった。建物の構造的耐震性以外については、受水槽による給水、自家発電機の設置、飲料水・食料の備蓄計画など、ライフラインの途絶に対応するための準備が比較的強く意識されていることが示された。一方で、ライフライン停止を想定した防災訓練、地震発生後の必要物資の調達計画などについては実施率が低い(20%未満)ことが示され、運営面での地震対策の実施率が低いという傾向が明らかになった。
結論
わが国の病院は、十分な耐震強度をもった建物の普及状況は過渡的段階にあることが分かった。新耐震基準を満たさない建物については耐震診断・改修工事の実施により、構造的耐震性を確保することが求められる。また、地震時に医療提供機能を維持するためには、運営面での地震対策についても推進してゆく必要性が高いと思われる。
公開日・更新日
公開日
2018-06-06
更新日
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