医療事故の全国的発生頻度に関する研究

文献情報

文献番号
200501244A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故の全国的発生頻度に関する研究
課題番号
H15-医療-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
堺 秀人(神奈川県病院事業庁)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 大道 久(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 池田 俊也(慶應義塾大学医学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
52,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、わが国における医療事故の発生頻度を全国的に把握するために、実行可能性および精度が高い手法を開発すると共に、その手法を用いて国内における有害事象の頻度やその性質・内容を調査することを目的とした。
研究方法
1)医療事故の全国的な発生頻度を把握するための本格調査を実施した。全国レベルで発生頻度を推計するための必要なサンプリングを行い、調査の同意が得られた18病院において遡及的診療録レビュー(退院後調査)をおこなった。2)退院後調査における限界を補完するための一方策として、プロスペクティブ調査(入院中調査)を任意の6病院を対象に実施し、退院後調査との比較などを実施した。
結果と考察
1)本格調査(退院後調査)において、18病院4389件のデータを集計したところ、調査対象入院前の有害事象の発生率は4.1%、入院中の有害事象の発生率は6.0%であった。そのうち、予防可能性が高い(50%以上)と判定された有害事象の発生率は、調査対象入院前では26.4%、入院中では23.2%であった。2)任意の6病院において入院中調査と退院後調査を実施し、その結果を比較したところ、退院後調査の方が有用であった。ただし、退院後調査の有用性は、個々の病院の診療録記載の精度が高いことと、調査員の習熟度の違いとに依存するため、今後わが国における医療事故発生頻度を継続的にモニターする場合には、診療録記載の精度と調査員の習熟度を維持向上させる仕組みが必要と考えられた。
結論
本研究では、先行研究等をもとに退院後調査手法を開発し、医療事故頻度把握のための本格調査の実施をおこなった。さらに、任意の6病院において入院中調査を実施し、退院後調査と比較して、さらなる方法論の検討を実施した。本研究の成果として、わが国で実行可能な医療事故頻度調査手法が確立したことと、このような調査を実施するための人材育成をおこない得たことが挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501244B
報告書区分
総合
研究課題名
医療事故の全国的発生頻度に関する研究
課題番号
H15-医療-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
堺 秀人(神奈川県病院事業庁)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(国立保健医療科学院政策科学部)
  • 大道 久(日本大学医学部)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 平尾 智広(香川大学医学部)
  • 池田 俊也(慶應義塾大学医学部)
  • 兼児 敏浩(三重大学医学部)
  • 中田 かおり(国立看護大学校)
  • 落合 慈之(NTT東日本関東病院)
  • 土谷 晋一郎(土谷総合病院)
  • 髙野 繁(日本眼科医会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、わが国における医療事故の発生頻度を全国的に把握するために、実行可能性および精度が高い手法を開発すると共に、その手法を用いて国内における有害事象の頻度やその性質・内容を調査することを目的とした。
研究方法
1)諸外国の先行研究事例および文献調査、諸外国の研究者へのヒアリング等を踏まえてわが国における有害事象の基準設定およびカルテレビューのための評価マニュアルを作成し、協力が得られた病院7施設において予備調査を実施して調査方法を確立した。2)医療事故の全国的な発生頻度を把握するための本格調査を実施した。全国レベルで発生頻度を推計するための必要なサンプリングを行い、調査の同意が得られた18病院において遡及的診療録レビュー(退院後調査)をおこなった。3)退院後調査における限界を補完するための一方策として、プロスペクティブ調査(入院中調査)を任意の6病院を対象に実施し、退院後調査との比較などを実施した。
結果と考察
1)カルテレビューにおけるレビュー者の信頼性の検証結果、および予備調査の結果から、開発した調査方法の妥当性、信頼性が示され、退院後調査方法が確立した。2)本格調査(退院後調査)において、18病院4389件のデータを集計したところ、調査対象入院前の有害事象の発生率は4.1%、入院中の有害事象の発生率は6.0%であった。そのうち、予防可能性が高い(50%以上)と判定された有害事象の発生率は、調査対象入院前では26.4%、入院中では23.2%であった。3)任意の6病院において入院中調査と退院後調査を実施し、その結果を比較したところ、退院後調査の方が有用であった。ただし、退院後調査の有用性は、個々の病院の診療録記載の精度が高いことと、調査員の習熟度の違いとに依存するため、今後わが国における医療事故発生頻度を継続的にモニターする場合には、診療録記載の精度と調査員の習熟度を維持向上させる仕組みが必要と考えられた。
結論
本研究では、先行研究等をもとに退院後調査手法を開発し、医療事故頻度把握のための本格調査の実施をおこなった。さらに、任意の6病院において入院中調査を実施し、退院後調査と比較して、さらなる方法論の検討を実施した。本研究の成果として、わが国で実行可能な医療事故頻度調査手法が確立したことと、このような調査を実施するための人材育成をおこない得たことが挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501244C