認定病院間の医療事故情報共有による患者安全の推進と医療記録の検証による事故防止策の実施に関する研究

文献情報

文献番号
200501242A
報告書区分
総括
研究課題名
認定病院間の医療事故情報共有による患者安全の推進と医療記録の検証による事故防止策の実施に関する研究
課題番号
H15-医療-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大道 久(財団法人日本医療機能評価機構)
研究分担者(所属機関)
  • 今中 雄一(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 寺崎 仁(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 長谷川 剛(自治医科大学附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
認定病院において経験された医療事故または警鐘的事例を病院間で共有し、その原因分析と再発防止策について検討することで、効果的な患者安全の推進を図ることが目的である。また、診療録等の医療記録の点検・評価は医療事故の発生状況の把握と有効な防止策の作成に必須であり、記録の検証とその活用のための具体的な方法と手順を確立することも目的とする。
研究方法
事故事例情報の受け入れを継続し、投薬プロセス・処置チューブトラブル等の既設の部会に加えて、「感染管理部会」、「精神科領域における医療安全管理検討会」等を設置して検討体制の充実を図る。また、医療記録の点検・評価の方法と手順を確立するためにChart review 検討会で個人情報保護法の施行に伴う改定を図るとともに、記録内容の点検・評価の実施に向けた組織体制の検討とその試行を行う。
結果と考察
参加病院は1070病院に達し、多岐にわたる協議の成果はセミナーやジャーナルで定期的に病院に還元された。特に「危険予知訓練法(KYT)」の医療への適用とその普及に一定の成果を得た。医療記録記載指針は個人情報保護法に伴う改定を行い、記載不備を点検する「量的点検」の運用に努めた。また、記録の点検・評価により医療事故を未然に防止するための着眼点と手順を確立し、いくつかの病院で実施してその問題点を明らかにした。問題事例を抽出し、院内に組織した専門委員会等で検討することを試みたが、事前の点検者の教育と作業時間の確保は容易でなく、引き続いて取り組みが求められている。
結論
新たな「感染管理部会」は医療の現場に即した感染制御のツールを提案し、参加病院間で検証が進んでいる。提案されたKTY法は有効な手法として多くの病院で実施が試みられている。また、「医療記録記載指針」は個人情報保護法の施行もあって病院からの関心は高い。記録内容の検証から医療安全や質の向上を図るための病院全体の組織的な取り組みは、医療の現場は繁忙を極めており、必ずしも十分な成果を上げていない。しかし、アウトカム評価が求められる今後の時代にあっては、記録の点検・評価による医療の質向上と安全の確保は、さらに強く求められることになると思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501242B
報告書区分
総合
研究課題名
認定病院間の医療事故情報共有による患者安全の推進と医療記録の検証による事故防止策の実施に関する研究
課題番号
H15-医療-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大道 久(財団法人日本医療機能評価機構)
研究分担者(所属機関)
  • 今中雄一(京都大学医学部大学院)
  • 寺崎 仁(日本大学医学部)
  • 長谷川 剛(自治医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
認定病院において経験された医療事故または警鐘的事例を病院間で共有し、その原因分析と再発防止策について検討することで、効果的な患者安全の推進を図ることが目的である。また、診療録等の医療記録の点検・評価は医療事故の発生状況の把握と有効な防止策の作成に必須であり、記録の検証とその活用のための具体的な方法と手順を確立することも目的とする。
研究方法
事故事例情報の受け入れを継続し、投薬プロセス・処置チューブトラブル等の既設の部会に加えて、「感染管理部会」、「精神科医療安全検討会」等を設置して検討体制の充実を図る。また、医療記録の点検・評価の方法と手順を確立するためにChart review 検討会で個人情報保護法の施行に伴う改定を図るとともに、記録内容の点検・評価の実施に向けた組織体制の検討とその試行を行う。
結果と考察
参加病院は1070病院に達し、多岐にわたる協議の成果はセミナーやジャーナルで定期的に病院に還元された。特に「危険予知訓練法(KYT)」の医療への適用とその普及に一定の成果を得た。医療記録記載指針は個人情報保護法に伴う改定を行い、記載不備を点検する「量的点検」の運用に努めた。また、記録の点検・評価により医療事故を未然に防止するための着眼点と手順を確立し、いくつかの病院で実施してその問題点を明らかにした。問題事例を抽出し、院内に組織した専門委員会等で検討することを試みたが、事前の点検者の教育と作業時間の確保は容易でなく、引き続いて取り組みが求められている。
結論
新たな「感染管理部会」は医療の現場に即した感染制御のツールを提案し、参加病院間で検証が進んでいる。提案されたKTY法は有効な手法として多くの病院で実施が試みられている。また、「医療記録記載指針」は個人情報保護法の施行もあって病院からの関心は高い。記録内容の検証から医療安全や質の向上を図るための病院全体の組織的な取り組みは、医療の現場は繁忙を極めており、必ずしも十分な成果を上げていない。しかし、アウトカム評価が求められる今後の時代にあっては、記録の点検・評価による医療の質向上と安全の確保は、さらに強く求められることになると思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501242C