医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200501241A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究
課題番号
H15-医療-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 徹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
  • 藤原 研司(独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院)
  • 池田 康夫(慶応義塾大学 医学部内科)
  • 野村 智之(北里大学 MEセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内科系専門学会を中心に医療事故・合併症の発生予防と再発防止の為の効果的なアクションプランを共有すること、医療事故・合併症調査・解析の第三者機関設立に向けた基盤を提供することを目的とした。
研究方法
日本消化器病学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション学会の全評議員を対象に消化器内視鏡検査・治療および心カテーテル検査・治療中の医療事故・合併症事例と再発防止策のアクションプラン情報を収集し解析する。輸液速度の集中管理システムの開発研究をする。倫理面への配慮:当該学会の了解を得、各施設の倫理委員会に諮り実施する。患者、医療従事者、施設名は全てを匿名化して行う。
結果と考察
1)消化管内視鏡に関する事例調査で232例が報告された。事故・合併症の内容では消化管穿孔と消化管出血が多かった。発生の患者側要因としては壁の脆弱性、基礎疾患、癒着、高齢などが危険因子であった。術者側要因は慎重さの不足、技術が未熟、指導体制の不備などであった。再発防止のアクションプランとしては、高齢者に対する注意、問診の徹底、症例の適切な選択、指導体制の強化等が重要とされた。2)心カテーテルについては191件の報告があった。患者側要因としては高齢、併存疾患が挙げられた。術者側要因及び再発防止のアクションプランは消化器内視鏡の場合とほぼ共通していた。3)所属する診療科の自己評価では、いずれの学会でも「技術の習熟度の評価体制」の点数が最も低かった。4)事故等の届出については、現状では「医療行為に過誤・過失があったと思われ、それが死亡に関与したと思われる場合」は警察に届け出るべきとするものが圧倒的に多く、一方、中立的第三者機関ができた場合は、これを警察に届け出るとするものは30%程度に減少し、中立的第三者機関に届け出るとの意見が67%を占めた。今後慎重に議論されるべきである。5)持続点滴の集中管理装置の開発に関する研究では検討すべき課題が多く残された。
結論
消化器内視鏡検査・治療および心臓カテーテル検査・治療に伴う医療事故・合併症の半数は内視鏡やカテーテルの操作、治療技術、状況判断の未熟さに原因が求められ、予防には指導体制と技術の評価体制の充実、高齢者や重症者に対する配慮などが必要と考えられた。これらの医療事故・合併症の原因を調査・解析する中立的第三者機関の必要性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501241B
報告書区分
総合
研究課題名
医療事故を防止するための対策の効果的な実施及び評価に関する研究
課題番号
H15-医療-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 徹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
  • 藤原 研司(独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院)
  • 池田 康夫(慶応義塾大学 医学部内科)
  • 野村 智之(北里大学 MEセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内科系専門学会を中心に医療事故・合併症の発生予防と再発防止の為の効果的なアクションプランを共有すること、医療事故・合併症調査・解析の第三者機関設立に向けた基盤を提供することを目的とした。
研究方法
日本消化器病学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション学会の全評議員を対象に消化器内視鏡検査・治療および心カテーテル検査・治療中の医療事故・合併症事例と再発防止策のアクションプラン情報を収集し解析する。輸液速度の集中管理システムの開発研究をする。倫理面への配慮:当該学会の了解を得、各施設の倫理委員会に諮り実施する。患者、医療従事者、施設名は全てを匿名化して行う。
結果と考察
1)消化管内視鏡に関する2年間にわたる事例調査で232例が報告された。内容では消化管穿孔と消化管出血が多かった。発生の患者側要因は壁の脆弱性、基礎疾患、癒着、高齢などが、また、術者側要因は慎重さの不足、技術が未熟、指導体制の不備などであった。再発防止のアクションプランとしては、高齢者に対する注意、問診の徹底、症例の適切な選択、指導体制の強化等が重要とされた。2)心カテーテルについては2年間で191件の報告があった。患者側要因としては高齢、併存疾患が挙げられた。術者側要因及び再発防止のアクションプランは消化器内視鏡の場合とほぼ共通していた。3)所属する診療科の自己評価では、いずれの学会でも「技術の習熟度の評価体制」の点数が最も低かった(最終年度調査)。4)事故等の届出については、現状では「医療行為に過誤・過失があったと思われ、それが死亡に関与したと思われる場合」は警察に届け出るべきとするものが圧倒的に多く、中立的第三者機関ができた場合は、これを警察に届け出るとするものは30%程度に減少し、中立的第三者機関に届け出るとの意見が67%を占めた(最終年度調査)。今後慎重に議論されるべきである。5)持続点滴の集中管理装置の開発に関する研究では検討すべき課題が多く残された。
結論
消化器内視鏡検査・治療および心臓カテーテル検査・治療に伴う医療事故・合併症の予防と再発防止には指導体制と技術の評価体制の充実、高齢者や重症者に対する配慮などが必要と考えられた。これらの医療事故・合併症の原因を調査・解析する中立的第三者機関の必要性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2007-06-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501241C