疾患特異的T細胞吸着材の開発

文献情報

文献番号
200501375A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患特異的T細胞吸着材の開発
課題番号
H16-創薬-071
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 統寿(国立病院機構長崎神経医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安武 幹智(旭化成メディカル(株))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
T細胞介在性の免疫応答異常が主因とされる疾患の治療のために、疾患の増悪・再燃に関与するT細胞のみをより選択的に吸着除去する体外循環システムを開発する。
研究方法
高選択性を有する吸着材物性の検討のために平均繊維径の異なる2種類の活性化不織布に、リガンドとして抗ヒトCD4抗体モノクローナル抗体固定吸着材を作成し、健常人および患者末梢血液をミニスケールカラムで処理し、前後の血液について,血球・血小板数、フローサイトメトリー分析などで解析した。疾患特異的なT細胞吸着を検討するためにCD4+CD25+ T細胞の解析を行った。
結果と考察
吸着材に用いる不織布の太糸径化により目的外細胞の吸着を大幅に抑制し、選択除去性能の向上が可能であった。制御性T細胞の分化、機能発現に必須であるFoxp3を用いて制御性T細胞の同定を試みることで多発性硬化症患者の末梢血中ではCD4+ CD25highのなかに活性化T細胞と制御性T細胞が混在する可能性があることが明らかとなった。疾患特異的T細胞の吸着を行う場合に、これらの制御性T細胞をどのように処理していくかが今後の課題と考えられた。
結論
稀少な目的細胞の選択的吸着除去の技術的可能性が示された。微量に存在する病因細胞を安全かつ効率よく選択除去する新たな治療方法の開発に繋がるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200501375B
報告書区分
総合
研究課題名
疾患特異的T細胞吸着材の開発
課題番号
H16-創薬-071
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 統寿(国立病院機構長崎神経医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 安武 幹智(旭化成メディカル株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
T細胞介在性の免疫応答異常が主因とされる疾患の治療のために、疾患の増悪・再燃に関与するT細胞のみをより選択的に吸着除去する体外循環システムを開発する。
研究方法
多発性硬化症の病態と関連の深いT細胞受容体(TCR)を標的分子とし、TCRVβ5.2+T細胞、TCRVβ8+T細胞の選択的吸着除去の可能性と評価法を検討した。抗ヒトTCRVβ5.2または抗ヒトTCRVβ8モノクローナル抗体を用いた吸着材を作成し、健常人および患者末梢血液をミニスケールカラムで処理し、前後の血液について,血球・血小板数、フローサイトメトリー分析などで解析した。
さらに、高選択性を有する吸着材物性の検討のために平均繊維径の異なる2種類の活性化不織布に、抗ヒトCD4抗体モノクローナル抗体固定した吸着材を作成し、選択的吸着除去評価を行った。疾患特異的なT細胞吸着を検討するためにCD4+CD25+ T細胞の解析を行った。
結果と考察
CD4抗原よりさらに疾患特異的な標的分子として、多発性硬化症における疾患特異的細胞であるTCRVβ5.2+T細胞及びTCRVβ8+T細胞を標的として、選択的吸着除去評価を行い、約60 %の吸着率が得られた。その他の細胞集団の非特異的吸着はほとんど見られず、本モノクローナル抗体固定吸着材による細胞除去技術を用いることで、極めて微量な細胞においても選択的吸着が可能と考えられた。吸着材に用いる不織布の太糸径化により目的外細胞の吸着を大幅に抑制し、選択除去性能の向上が可能であった。Foxp3を用いて制御性T細胞の同定を試みることで多発性硬化症患者の末梢血中ではCD4+ CD25+T細胞のなかに制御性T細胞が混在していることが明らかとなった。疾患特異的T細胞の吸着を行う場合に、これらの制御性T細胞をどのように処理していくかが今後の課題と考えられた。
結論
稀少な目的細胞の選択的吸着除去の技術的可能性が示された。微量に存在する病因細胞を安全かつ効率よく選択除去する新たな治療方法の開発に繋がるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501375C

成果

専門的・学術的観点からの成果
多発性硬化症の治療法の開発を目的として、抗ヒトCD4抗体モノクローナル抗体を固定した吸着材を作成し、病因となる疾患特異的T細胞を選択的に吸着除去する技術を開発した。この技術は微量に存在する病因細胞を安全かつ効率よく選択除去する新たな治療方法の開発となる独創的、画期的なものであり、国際的に注目されている。
臨床的観点からの成果
多発性硬化症における疾患特異的細胞であるTCRVβ5.2+T細胞及びTCRVβ8+T細胞を選択的に吸着除去す技術の開発とCD4T細胞機能の解析結果は、多発性硬化症の病因病態の解明と治療法の開発に向けて大きな成果である。 
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
創薬等ヒューマンサイエンス総合研究成果普及啓発事業発表会(国民向け)テーマ:難病に挑む2000年3月11日13:00~16:30、全共連ビル、東京

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
第18回日本神経免疫学会学術集会2006.3.2 名古屋
学会発表(国際学会等)
1件
4thCongress of International Society for Aferesis特別講演、Rostock,Germany,2005.5.3
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-